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#5 子の健康は親の健康から。子育てを担うパパとママの居場所「プチママン」

ページID:0078979 更新日:2023年6月29日更新 印刷ページ表示

NPO法人子育て支援コミュニティプチママン

 

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生まれてすぐの子どもは、私たちがそうされてきたのと同じように大切に育てられます。
当たり前のような話ですが、まずは親の心身が健康でないとその関係性がうまくいかなくなってしまうことも。

 

子どもと一緒に、親の心も元気にする場所。それが、子育て支援を行う「NPO法人子育て支援コミュニティプチママン」です。子どもだけでなく親にもフォーカスして支援を行う民間団体は、県内に多くはありません。富田町にある一軒家で開かれている親子プログラムにお邪魔してきました。

 

「程よい距離感がありがたい」

入口をくぐると、ふわりとした笑顔で迎えてくださったのは、エプロン姿のスタッフの皆さん。明るく和やかな雰囲気で、こちらもつられて笑顔になってしまいます。

 

この日は音楽に合わせて身体を動かす「リトミック」の日。この日初めて来たという方や、普段から定期的に通っているという方まで、0~2歳の子どもとお母さん4組が集まりました。音楽療法士の山田先生がキーボードで音を出し始めると、楽しい時間のはじまりです。

 

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「ぎゅっとしながら、大好きだよーって。お母さんの思いを声に出して伝えてあげてください。幸せホルモンが出ますよ」

 

そんな山田先生の呼びかけに合わせて、ほっぺたをくっつけ合ったり、音楽に合わせて輪になって身体を動かしたり、タンバリンを持って音を奏でたり、クレヨンでお絵描きしたりと、45分ほどのプログラムでさまざまな遊びができて、子どももお母さんも笑顔に包まれます。

 

この日の参加者の一人は、1歳半の娘さんが1歳を迎えてから週に2~3回はこちらに足を運んでいるといいます。通い始めてからの変化を、このように話してくれました。

 

「できるだけ子どものそばにいたいと思っているのですが、ここに来る前は実家と自宅にしか居場所がなくて、引きこもりがちだったんです。そんな時にプチママンを紹介するInstagramの投稿を見つけました。子どもは他の子と関わることで言葉も出てくるようになったし、私は先生と話せることでストレスがなくなりました。プログラムは大人も楽しめるし、先生はみなさん気さく。程よい距離感でいてくれるのもありがたいですね」

 

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元利用者のスタッフがつくる「実家みたい」な場所

プチママンの活動がスタートしたのは2005年。子育て中の親が集まれる拠点づくりをしようと、親同士が情報交換をする「子育てサークル」の代表者が集まり、結成されました。

 

現在は、絵本の読み聞かせや子ども向けの英語教室、託児付きのヨガや離乳食講座などのプログラムを月30回ほど行っています。参加者は、月の総数で300~400人ほど。スタッフは元幼稚園教諭や保育士、教員免許を持つ方など、約30人。多くがプチママンの元利用者で、お母さんの先輩です。プログラムは、利用者との普段の会話から出てきたニーズや、元利用者であるスタッフのアイディアで決められていきます。

 

副理事長の鈴木陽子さんも、18年前に通ったプチママンの元利用者なのだそう。歌やダンス、ゲームなどで英語に慣れ親しむ親子英語のプログラムを担当しています。

 

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「私は高齢出産だったのですが、子どもが小さい時は公園に行っても若いママしかいなくて、行きづらかったんです。そんな時にプチママンを見つけました。

 

母になってみてわかったんですが、子育てってやっぱりすごく大変。子どもはかわいいんだけど、ずっと一対一だと、一緒にいるのがつらくなる時もあります。子どもが遊ぶための施設はたくさんあるんですけど、お母さんがほっとリラックスできる施設ってないんですよね。でも、プチママンに来れば誰かと話ができる。その安心感がありました。

 

娘が大きくなって今度は自分が支援する側に回りたいと思い、スタッフとして活動するようになりました。」

 

プログラムの参加ついでに、おしゃべりして気軽に子育ての相談もできる。利用者からは、「実家みたい」「息抜きができる」と頼られています。

 

利用者からは、育児や家庭の悩みを打ち明けられることも多いのだそう。

 

「こないだも、話しながらぽろぽろ涙をこぼしちゃうママがいました。『子どもが1時間ごとに泣いちゃう。不安だから抱っこし続けて寝不足だ』って。情報社会になって便利な反面、育児についてネットで調べすぎて頭が混乱しちゃっているママがいる。悩みを打ち明けて、育児の先輩でもある私達や他のママとリアルで話して『そういうことあるよね』とか『こうした方がいいんじゃない』とか話し合って、ちょっとすっきりして帰ってもらえるという場面は多いですね。」

 

時には、パパへのちょっとした不満を耳にすることも…。

 

「パパは一生懸命赤ちゃんにミルクをあげてる、でも飲み終わった哺乳瓶を洗わず机の上に置きっぱなしにしてしまう、とか。根本的な解決にはつながらなくても、他のお母さんが『うちもそう。いやだよね』って共感したりとか、『こう伝えればいいんじゃない?』とアドバイスしたりすることで、『こう感じていいんだ』『今度はこうしてみよう』と思える糸口がつかめれば、それだけでも救われるかもしれません。」

 

お母さんの利用者が多いプチママンですが、お父さん向けに子どもと一緒に工作をするプログラムも展開しており、人気が高まっているのだそう。

 

パパの『手伝いたい』という思いと、ママが『伝えづらい』『こうしてほしい』という思いをつなぐパイプ役になりたいと思っています。パパ・ママ関係なく、みんなが集まって、ざっくばらんに子育てのいろいろを語る会もしたいですね。」

 

発達に不安がある子どもの療育活動や相談も

近年、発達障がいの診断を受ける子どもが増えています。その一方、療育支援施設で支援を受けようと思っても、定員が埋まり待機になってしまうのが現状です。子育て中の親と真摯に向き合ってきたプチママンは、長年子育てに関わってきた経験を、発達に不安がある子どもの療育支援と相談業務にも活かしています。

 

また、日常生活で医療行為を必要とするお子さんを持つ親の子育てサークル「はっぴぃスマイル」の拠点として、障がいのある子どもを持つ親同士が交流し、情報交換できる場にもなっています。

 

「親もリフレッシュできる時間が必要な反面、子どもと離れるのが不安と感じる親が多いことも実感しています。障がいの有無に関わらず、親の気持ちに寄り添えるような活動ができればいいなと思っています。」

 

育児に疲れている人にこそ、足を運んでみてほしい

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幅広い活動を展開しているプチママンですが、運営そのものは補助金や大きな母体からの経済的な支援を受けているわけではないそうです。最近は寄付金や少額の参加料などで持続的な経営につなげられるようになりましたが、設立当初はほとんどボランティア。おもちゃも手作りでした。こうして続けてこられた背景には、自身もプチママンの存在に助けられたスタッフ達の努力があったといいます。

 

最近では、これまでの取り組みを郡山市以外の自治体に広げる動きも始まっています。現在、玉川村や三春町など県内12市町村から委託を受け、子どもも大人も楽しめるさまざまなプログラムを展開しています。

 

プチママンのプログラムに参加したくても、郡山に来れない人もいる。1回のイベントで終わるんじゃなくて、私達のような子育てサークルを県内多くの場所でも作ってもらえるようなノウハウをお渡ししたいという意識でいます。ちょっとずつでもいいから、お母さんや地域の人たちが自分たちで何か企画を立ち上げて、親子の居場所を作れるようにしたいと思っています。」

 

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「あるお母さんに『プチママンって知ってる?よかったらおいで』って声を掛けたら、『名前は聞いたことあるけど敷居が高い感じがする』と言われたことがあるんです。私たちも最初は勇気を出して足を運んだから、不安な気持ちはわかります。でも、常連ばかりでもないし、一人では行きづらい場所じゃないよってことを伝えたいです。

 

一度来てみて、やっぱりいいやでもいいんです。育児に疲れて、人に会うことさえ疲れている人もいるかもしれませんが、ぜひ気軽に足を運んでみてもらいたいです。」

 


■NPO法人子育て支援コミュニティプチママン<外部リンク>


<動画>ショートムービーをご覧ください。

2023年6月29日公開

Photo by 佐久間正人(佐久間正人写真事務所<外部リンク>

Interview by 片倉菜々(マデニヤル<外部リンク>

Text by 五十嵐秋音(マデニヤル<外部リンク>

Movie by 杉山毅登(佐久間正人写真事務所<外部リンク>