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【博物館準備室コラムVol.15】 ~開館直前の想い~
歴史情報博物館準備室の上石です。
新しい「歴史情報博物館」の開館がいよいよ目前に迫りました。この一年間、準備室長の補佐として、また、チームの一員として取り組んできた日々を振り返ると、期待と不安が入り混じった初日のことが思い出されます。私はゼロからのスタートでしたが、ここまでたどり着けたのは、スタッフ全員がそれぞれの力を発揮し、一つの目標に向かって歩み続けてきたからだと感じています。
準備室では、メンバーが専門性や役割を持ちながらも、それぞれの領域を超えて意見を交わし合い、時には試行錯誤を重ねながら進めてきました。準備室長の下で全体の方向性を確認しながら、私の役割は、その橋渡し役として、チーム全体がスムーズに動ける環境を整えることでした。現場で起こる大小の問題に耳を傾け、調整し、時には解決策を探る。華やかな展示の舞台裏で、地道な調整を振り返ると、その積み重ねこそが、この博物館の基盤になっているのだと思います。
特に印象深かったのは、展示内容を決める過程です。膨大な資料の中から何を選び、どう見せるかを決めるのは簡単なことではありませんでした。選んだ資料が地域の皆さまにどのように受け取られるのか、あるいは未来の世代にどんなメッセージを残せるのか。そうした問いをメンバー同士で議論しながら、一つずつ展示案を形にしていく日々でした。決定の背景には無数のストーリーがあり、それが博物館を訪れる方々に伝わることを願っています。

<学芸員集合写真>
また、今回の準備の中で特に感銘を受けたのは、地域の方々の熱い思いです。資料提供や調査への協力、企画への意見など、博物館へ対して多くの期待や愛情が寄せられていることを実感しました。この博物館は、地域の皆さまとともに作り上げたものだと言っても過言ではありません。そうしたつながりが、今後も博物館を支え、さらに広げていく力になることでしょう。
一方で準備期間中は多くの課題にも直面しました。限られた時間の中での調整や、新しい技術の導入に伴う試行錯誤、さらに予期せぬトラブル。そうした困難を乗り越えられたのは、準備室のメンバー一人一人が自分の役割を全力で果たし、お互いを支え合ったからこそだと思います。私自身も皆の力を間近で感じるたびに、チームの一員であることに誇りを抱いていました。
開館後、この博物館が果たす役割はますます重要になっていきます。歴史を伝えるだけでなく、人々が集い、学び、そして新しい視点を得る場。地域の記憶を共有し次の世代へつなげていく存在として、多くの方々に愛されることを願っています。そして、その第一歩を見届けられることに、心から喜びを感じています。
最後になりますが、このプロジェクトを支えてくださった全ての方々に心より感謝申し上げます。ぜひ開館後、新しい「歴史情報博物館」でお会いしましょう。

<企画展も準備中!>