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【博物館コラムVol.4】~特定歴史公文書の世界をのぞいてみましょう~

ページID:0156429 更新日:2025年7月31日更新 印刷ページ表示

みなさん、こんにちは。歴史情報博物館歴史公文書係の清水です。歴史公文書係では、特定歴史公文書等の受入れ、保存、利用に関する業務を行っています。

博物館には「特定歴史公文書等」と呼ばれる、歴史資料として重要な公文書が保存されています。明治・大正・昭和・平成と続く膨大な資料です。その特定歴史公文書等を、「郡山市公文書管理条例に基づく利用請求に対する処分に係る審査基準」に基づき、記録されている情報が利用制限情報に該当するかどうかの事前審査を行います。

わかりやすく言うと、特定歴史公文書等を全て一般の方に公開してもよいかどうかという審査をする仕事をしています。

例えば、特定歴史公文書等の中に氏名が明記されている場合があります。住所と氏名から特定の個人が明らかになる場合がありますが、それは、はたして公開してもよいものなのでしょうか?

審査基準には、「審査において「時の経過を考慮する」(郡山市公文書管理条例第12条第2項)に当たっては、利用制限は原則として作成又は取得されてから30年を超えないとするいわゆる「30年ルール」を踏まえるものとする。」となっています。

明治39年庶務書類綴(多田野村役場)当館所蔵の『明治39年庶務書類綴(多田野村役場)』という特定歴史公文書等は、庶務関係だけあってさまざまな内容に個人名が明記されています。よくでてくる文書件名に身元証明願があります。「刑罰ヲ受ケタル事ナシ」「破産ノ宣告又は身代限リ処分ヲ受ケタル事ナシ」等を役場で証明しています。就職するときに提出する書類ではないかと推測されます。

この特定歴史公文書等の氏名等は、当人が刑罰を受けていなければ、先に述べた「30年ルール」にのっとり、30年で氏名等を公開することになります。しかし、刑罰を受けていた場合は審査基準により、罰金以下の刑の犯罪歴は80年、禁錮以上の刑の犯罪歴は110年を目途として公開となります。このような観点から、特定歴史公文書等に目を通し、利用制限情報の有無を審査して、公開・部分公開・非公開を決めています。

今は明治時代の特定歴史公文書等にとりかかっています。100年以上前の文書はとても繊細なものです。取り扱うときは充分な注意を払います。腕時計は外し、机の周りは整理して、薄葉紙という紙の上で作業しています。まれに、虫食いや破損がある文書もありますので、後日、修復するためにチェックしています。

特定歴史公文書の整理・保存は、決して派手ではなく、むしろ忍耐を要する仕事です。しかし、これらは市民が共有すべき記録であり、社会の透明性と歴史の継承に欠かせないものです。その責任を胸に、これからも一つひとつ資料と向き合い、未来へと確実に引き継いでまいります。