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建築


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美術館の建築について

外観

郡山市立美術館は、郡山市街から安達太良山までを一望できる緑豊かな丘陵地にあります。この立地をじゅうぶんに生かし、多くの方々に安らぎを与える場となることを目指して、当館は1992年11月に開館いたしました。

設計を手掛けた柳澤孝彦(1935−2017)にとって、当館は独立して間もない頃の出世作であり、代表作の一つとなりました。柳澤は当館の設計について、「芸術の場を、人と自然が相互に深く呼応し合う環境としての風景の中に作り込もうとする意図を発展させた」と語っています(『SD』370号、1995年7月刊行)。

外

このようにして設計された建物や敷地内には、自然と人々を結ぶ有機的なデザインがふんだんに採用されています。例えば、坂の上の駐車場からは、当館の最も美しい外観を俯瞰して見ることができます。階段を降りて長いキャノピーを進んでいくと、左手には広々とした石庭が広がり、雑木林の山並みと調和する緩やかなカーブの屋根を抱く建物が迫ってきます。この長い通路をゆっくりと進んでいくことで、来場者は自然の景観を楽しみつつ、日常から切り離された芸術体験へと自然に誘われるのです。

階段

 

現代的な品格を湛えた建物ですが、館内からも自然のあたたかみを楽しむことのできる工夫が施されています。一階入口から入ると、エントランスホールから左側の展示室ロビーにかけて、100メートルほど長く続く奥行きのある空間が広がっています。この石庭に面するロビーや普及棟、カフェはガラス張りになっており、四季折々に色付く自然の風景を館内から味わうことができます。この他にも、床や壁面には木材を使用し、建物全体に木目のあるホワイトコンクリートの打ちっぱなしが多用されています。郡山市立美術館は、非日常的な空間と居心地の良さを感じられる空間を両立させながら、人々と文化芸術の豊かな交流が生まれる場所を提供しています。

 

1994年 第35回BCS建築賞

1998年 公共建築百選


ページID:0025959 更新日:2022年2月22日更新 印刷ページ表示