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郡山市立美術館開館30周年記念文化講座
郡山市立美術館開館30周年記念文化講座
やなせたかしさんの原作絵本『しろいうま』のアニメーションに曲をつけたタテタカコさんの、やなせさんとの話を織り交ぜながらのレクチャー・コンサート。
アートとは、本来は、自然に対置される人間の技能、その結果としての人工物などを意味する言葉です。
この技能には、実際にものを作る・存在させる技術、さらにはそれを認識する感性や知識、理論も含まれます。
テークは英語のTakeにちなんでいます。「触れる、つかむ、とらえる」を原義とし、人が何かを自分のものとすることを意味する言葉で、対象との関わり方そのものをあらわすキーワードです。
<アート・テーク>は、文字通り「アートを捉える」、さらに「アートから捉える」ことを目的とした文化講座です。いわゆる美術に限らず、日常生活に点在する様々な物、事象を、改めて人との関わりに注目して取り上げます。講師は当館館長、そして特別講師として各分野の最先端で研究、活躍する方々にご登場いただきます。
アートを手掛かりに、「人間とは何か?」について一緒に考えてみませんか。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。
「色」は、様々な領域で、民族の文化や精神の根底に関わる存在である。日本の色を考える場合には、色彩としての色だけではなく、その色の在りよう、人間との関わり、色をめぐる感情などが、「色」を規定していることに気づく。それは、私たち日本人が色をどのように呼び、記しているか、からも読み取ることができる。色と言葉の関係に着目して、日本の色について考えてみたい。
食べ物の好みは、時代により、また地域ごとにちがいます。それと同じで、性的な嗜好も、じつに多様です。そのばらつきぐあいを、私が今までにさぐってきた事象をとおして、語りたい。日本文化のかたよりや、その現代的な傾向をひろいだしていきましょう。
幸か不幸か、私は男です。六十歳台もなかばというおっさんにほかなりません。いや、おじいさんと言うべきでしょうか。私の話ぶりには、いやおうなくおやじくささがただようでしょう。そこをこらえて、おつきあい下さい。耳をかたむけて下されば、目の中にある鱗をおとしてみせる。ずいぶんな見得のきりようですが、そのぐらいの心意気で、当日はのぞむつもりです。
日本の藍は、インド、アフリカなど他の国の藍色とは少し違うという意味で、ジャパンブルーと言われてきました。それは、奈良時代に中国から藍草が日本にもたらされて以来、日本の風土の中で日本人好みの色になり、洗練され透明感のある色足の長い藍色を作り出したことにあると、私なりに解釈しています。私は西洋画を学び創作の理念として、精神的な空間表現を理想として試行錯誤するなかで日本の藍に出会いました。ジャパンブルーにより理想が可能になったと思っています。
ヒトの色覚には「赤緑色盲」として知られる2色型色覚など、稀とは言えない多様性があります。一方ヒトに近い「旧世界霊長類」のグループは「正常」3色型ばかりで多様性はほとんどありません。ところが、もう少し遠縁の中南米に棲む「新世界ザル」は2色型と3色型の多様性の宝庫です。鳥類や爬虫類では4色型という想像を絶する色彩感覚の世界があり、魚類には驚異的な色覚の柔軟性が見られます。こうした進化の視点からは、ヒトの色覚多様性には意味があると思えてきます。そういったお話をさせていただきます。
申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
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日本に「美術館」が誕生して140余年。現在、美術館は全国に登録博物館、類似施設だけでも約1600館、美術館と名のつく施設は数千以上あるといわれます。今や美術館は社会に受け入れられた日常的な存在だといえるでしょう。ところが一方で、美術館は堅苦しい、親しみやすい存在ではないとの声もよく聞きます。
「美術館」の歴史は、人間の好奇心、探究心、表現の歴史と重なります。日本には、古来から、細工物や軽業、曲芸、珍奇な動物などを扱った様々な「見世物」がありますが、そこには、人の好奇心を揺さぶるエネルギー、非日常感を醸す猥雑さ、人間や自然の造化の奥深さを直感させる魅力があります。日本人はこうした要素をその遺伝子に抱えて、明治以降、「美術館」を存在させてきたのではないでしょうか。
木下直之氏は、「美術」の枠組みからこぼれ落ちた、あるいは意図的に排除された文化的な要素や事象に目を向け、その意味や意図を考え続け、丹念に社会に位置づけてきました。これから、美術館は私たちの暮らしや人生にどのような形で関わることができるのでしょうか。
木下直之氏に「美術館の未来」についてお話しいただきます。
現在私たちが「美術」と呼ぶものは、誰のため、何のためにつくられ、どこに向かおうとしているのか。この講座では、日本の「美術」の歴史とその構造をふまえ、「美術」を前提に存在している「美術館」という仕組みについて論及する。日本の美術館はどのような目的、制度のもとに性格づけられてきたのか。私たちはそこに何を求め、関係してきたのか。「美術」と「人間」、「美術館」の今とこれからを考える。
レコードは、音楽を聞くためだけに作られたのではありません。生活に密着した様々な目的で作られたもののほうが圧倒的に多くありました。あまりに身近すぎてこれまであまり顧みられることがありませんでしたが、レコードに素直に耳を傾けると、ゆっくりと当時の暮らしや人々の気持ちが見えてきます。
申込不要
第2部は申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
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明治から続く動物ものまね、江戸家の芸を受け継ぐ二代目江戸家小猫。明治から続く動物ものまね、江戸家の芸を受け継ぐ二代目江戸家小猫。鶯、蛙、秋の虫など、伝統の芸はもちろんのこと、サイ、カバ、キリン、シマウマなど、鳴き声があまり知られていない動物たちの声もお聞かせします。日本各地の動物園を巡りながら、動物たちと向き合う日々。どのようにして動物たちの声を再現していくのか。どんな動物たちが登場するのか。それは、その日のお楽しみです。
足元を掘り下げれば世界につながる。生まれ育った奈良で映画を創り続けている映画監督、河瀬直美。彼女はなぜ映画を創る人生を歩むようになったのか、どのようにしてその才能が世界に認められたのか。自身の作品などを振り返りながら語ります。
申込不要
第1部は申込不要です。
第2部は、申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
皆で声を揃えて歌う合唱という行為は、音楽の中で独特の位置を占めてきました。とりわけ日本では、行事の際に皆で校歌や社歌を歌う習慣が発達したり、ベートーヴェンの《第九》を歌うための市民合唱団が作られたりといった、諸外国にはあまりみられない展開をみせてきました。しかしこれは日本だけの問題ではありません。合唱という文化は、18世紀末のヨーロッパを震源地として世界各地に広まっていく過程で、それぞれの地域の多様な文化と関わっていろいろと形を変えながら、人々を結びつけ、共同体を形作る上での欠かせない役割を果たしてきました。日本の状況もまた、こうした過程のなかでこの合唱という独特の形態がみせてきたさまざまの顔のひとつにほかなりません。この講座では、今の日本の合唱文化について、そのような背景の一端をご紹介しながら、そこにおける意味を考えてみたいと思います。
日本美術の歴史は、外来美術の受容と展開という側面を抜きにしては語れません。この講座では、特に西洋文化、芸術表現の受容、交流を通して、日本の美術史がどのように形成されてきたのかを探ります。
骨董を通して日本の美術史をひもときます。
異界と地上界との狭間で、人間が生み出してきた造形について考えます。
申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
直木賞作家の京極夏彦氏は小説家であると同時に、世界妖怪協会、全日本妖怪推進委員会肝煎、古典遊戯研究会紙舞会員、お化け大學校・水木しげる学部教授としても研究・活躍しています。
本講座では、京極氏の妖怪・妖怪の世界に関する深い造形と愛が、どのように文芸作品として表出するのか、創造の核心についてお話いただきます。
申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
琵琶は、正倉院に現存する世界唯一の五弦琵琶が物語るように、奈良時代には既に日本に入っており、古くから愛されてきた楽器です。五弦琵琶、楽琵琶、平家琵琶、盲僧琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶などの種類があり、それぞれ特有の音楽と社会背景、豊かな歴史を持っています。
塩高和之氏は、文化としての琵琶楽(琵琶を主体とした音楽)を標榜し、伝統的な雅楽古典曲から薩摩琵琶の現代曲まで幅広く作曲・演奏活動をしています。本講座では、演奏を通して琵琶の魅力と特徴についてお話しするとともに、樂琵琶による秘曲「啄木」も弾奏します。
憑きもの・河童・鬼・天狗・山姥・幽霊・異人―。妖怪は、昔から、絵巻や物語に描かれ、時代の中で再生産され、現在では映画・文学・マンガ・アニメやライトノベルにまで大きな影響を及ぼしています。日本人は妖怪や迷信とともに生き、不安や恐れ、神秘感といった思いを共有して文化をかたちづくってきました。妖怪研究の第一人者である小松和彦氏が、妖怪の歴史をたんねんにたどり、豊かな妖怪文化を築いてきた日本人の想像力と精神性を明らかにします。
申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
人形は、時には依代(よりしろ)として、また人間の代わりとして、玩具として、人々の信仰や娯楽と結びつきながら、人間の歴史とともに存在してきました。
人形浄瑠璃「文楽」は、今から約400年前に大坂の地で生まれ、日本各地で庶民によって育まれてきた日本固有の舞台芸能です。<大夫(たゆう)>が語る義太夫の優れた音楽性、太棹(ふとざお)<三味線>の繊細かつ豪快な響きと描写、三人で遣う<人形>の高度な表現力、この三つの技が一体となって、人形はまるで生きているように見る者を圧倒します。
この度、郡山市立美術館では、現在の文楽の世界で最も華のある人形遣い・桐竹勘十郎氏をはじめ、第一線で活躍する大夫、三味線方を講師にむかえ、文楽の魅力と歴史について実演をふまえて講演していただきます。
文楽を知らない方にも、見て、聞いて、心に沁みる内容となっています。
申し込みが必要です。(応募多数の場合は抽選)
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