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#7 「食を通して健康を支える」ヨークベニマルの思い
株式会社ヨークベニマル
「食べることは生きること」と言われるほど、食事は栄養を取るためだけではなく、生活を豊かにすることにもつながるものです。
そんな毎日の食生活の基盤となるのがスーパーマーケット。今回は、郡山市と包括連携協定を締結しているヨークベニマルの横塚店にお邪魔して、市民の日々の食を支える思いをお聞きしてきました。
「適塩」で意識して野菜を食べ続けられるお惣菜
ヨークベニマルは、南東北と北関東の5県で245店舗、そのうち本社を置く郡山市では18店舗を展開しています。福島県民にとっては日常と密接に結びついた存在で、ヨークベニマルでの買い物が生活の一部になっているという人も多いのではないでしょうか。
横塚店は市内一の売り場面積を誇る「モデル店」で、接客や品ぞろえも日本一を目指しているのだそう。日常に欠かせない商品はもちろん、特別な日の「ちょっと良いものを食べたい」というニーズにも応えるラインナップが特徴です。
店長の増子丈二さんに、店内を歩きながら話を聞かせてもらいました。
仕事に追われる忙しい人や料理が苦手な人にとっては、たとえ新鮮で魅力的な食材が売られていたとしても、自炊はハードルが高いと感じてしまうでしょう。そんな人のために、ヨークベニマルでは健康に配慮したお惣菜のラインナップにも力を入れています。
「毎朝店舗でとった出汁をベースに、化学調味料と保存料は極力使わない、ごはんが美味しく進む味わいを目指しています。美味しさと塩分量のバランスを考えた『適塩』も意識しており、安心して食卓に並べることができます。」
一日分の野菜(350g)の目安がわかるような商品を提案したり、お総菜コーナーの近くにカット野菜のサラダを配置したりと、野菜を食べることを意識づける工夫も。
「お総菜は時間帯別の客層に合ったサイズを販売しています。夕方はファミリー層向けに大きめのパックを、量を必要としない高齢のお客様が多い午前中や、仕事帰りに一人分の夕食を求めて来店する人が増える18時以降は、小さな食べきりサイズを重点的に展開します。食事のスタイルに合った量を選べれば、その日の気分や不足している栄養素に合わせた惣菜に手を伸ばしやすいと考えます。」
購入から食卓に並ぶまでを見越した鮮度管理
食材が評価される指標の一つが「鮮度」。増子さんは築地市場で鮮魚の仕入れを担当していた経験もあり、鮮度へのこだわりは並々ではないようです。ヨークベニマルでは、野菜は店舗近隣のもの、魚は浜通りで水揚げされた「常磐もの」、精肉は福島牛をはじめとした県内産など、近場の産地を中心に新鮮な食品を仕入れています。食の安全性についても、たとえば養殖漁業者であれば、仕入れ価格だけではなく、餌や生産体制などが国の基準に従っているか確認が取れた業者からのみ仕入れることを大前提にしています。
新鮮でおいしい食材を食卓に届ける―。その使命を果たすために、ヨークベニマルでは購入後のことも考えた独自の商品管理基準を設けています。
「仮に賞味期限が1週間であったとしても、お買い上げになってから冷蔵庫に2日間保管することを考えて、商品は4~5日間で売り切り、値下げ幅も鮮度で判断しています。
鮮度の基準は入荷日だけに頼るのではなく、売り場の担当外のスタッフが1日に3~4回、買い物客の目線で商品に痛みがないかをチェックしています。お肉も一頭ごとに品質が異なりますので、変色が早い商品があれば鮮度が落ちないうちに売り切るように管理を徹底しています。」
社会問題を考え、地域とつながる機会にも
ヨークベニマルは、フードロスを減らし社会と地域をつなぐきっかけもつくっています。その一つが「フードドライブ」の取り組みです。横塚店と安積町店では、家庭で眠る保存可能な食料品を集める回収ボックスを設置し、寄せられた食品を地域の子ども食堂などの活動に役立てています。
2023年5月の設置初月に寄せられた食品は、調味料や缶詰、レトルト食品やお菓子など、81キロ分。6月には総量100キロに到達しました。「家で食べずにいた食品を活用してもらえる場があって助かる」「ムダにしなくてすむ」といった声も寄せられており、他店への拡大も予定しているそうです。
また、乳製品や加工食品などの売り場では、賞味期限が早い商品を陳列棚の手前に並べ、その順での商品の購入を促す「手前どり」のカードを掲示。これは郡山市が、食品ロスを減らすために購入後すぐに消費する商品であれば賞味期限が近いものから選んでもらおうと推奨している取り組みで、市内のコンビニエンスストアやスーパーなども協力しています。
横塚店では親子や学生、夫婦が会話をしながら「手前どり」で買い物をする様子もあるといい、食品ロスの削減や食べ物の価値を考える場にもなっています。
食をもっと楽しめるきっかけの場所に
「スーパーを、日常の買い物だけではなく、食を楽しめるきっかけになる場所にしたい」と増子さんは話します。これまで口にする機会のなかった食材も、栄養やおいしく食べるレシピを知ることで、食を楽しめる幅は広がります。
福島県民の食塩摂取量は男性11.9グラム・女性9.9グラムと基準量より多く、男性は全国で1番目、女性は2番目に食塩の摂取量が多いといわれています(平成28年国民健康・栄養調査)。 食塩を多くとり続けると高血圧などの生活習慣病などを引き起こすリスクも上がります。外食が続くと塩分過多になりがちですが、店内で食材がそろうレシピなら、塩分量がコントロールできる自炊もしやすくなるでしょう。
「試食などを通して、減塩レシピや野菜をたくさん取れるレシピを紹介する機会をもっともっと増やしていきたいです。そうしたことの積み重ねが、食を通してお客様の健康を支えていくことにつながると思っています。」
地域で暮らす人々の健康への願いを、日常で足を運ぶスーパーも支えています。
■株式会社ヨークベニマル<外部リンク>
<動画>ショートムービーをご覧ください。
2023年10月4日公開
Photo by 佐久間正人(佐久間正人写真事務所<外部リンク>)
Text by 五十嵐秋音(マデニヤル<外部リンク>)
Movie by 杉山毅登(佐久間正人写真事務所<外部リンク>)