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【健康コラムVol.14】住まいのアレルギー!お家に潜むダニ・カビ対策
みなさんこんにちは!保健所生活衛生課 環境衛生担当です。
今回は、「住まいのアレルギー!お家に潜むダニ・カビ対策」についてお伝えします。
住宅に起因するアレルギー疾患
人の体に細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、その異物に対抗する物質(免疫)が作られます。
免疫は外敵から身を守り、自分の体に有利に働くものですが、これが過剰に反応すると、喘息やじんましんなどのアレルギーを起こします。
住宅内において、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)としては、ダニやカビなどがあります。
住まいのダニ対策
〇ダニの種類と影響
一般的な家庭環境に住む主なダニは、チリダニ科、コナダニ科、ツメダニ科です。
これらの内、家屋内にいるダニ類の約90%を占めるのが「チリダニ科」で、虫体だけでなく、糞、死骸のすべてがアレルゲンとなることから、家の中に生息しているダニの中では最も注意が必要なダニといえます。
〇家屋内のダニの生息場所
家屋内のダニは、部屋の床面(畳、じゅうたん等)、寝具(掛け布団、敷き布団、毛布等)、布製ソファ、ぬいぐるみ等で、侵入・生息できる環境があれば、数の多い・少ないという差があっても、いたるところに存在しています。
〇ダニが増える条件
(1)高温多湿の環境があること
温度20~30℃、湿度60%以上(最適60~80%)でダニは盛んに繁殖します。
(2)餌が豊富にあること
ほこり・カビ・食べこぼし・ふけなど、人が生活している所どこにでもあるものがダニの餌になります。
(3)潜れる(産卵する)場所があること
家屋内のダニは暗いところを好み、大きさが1mm以下と小さいので、せまい隙間でも潜ることができます。これらの習性や特性を生かして、畳、じゅうたん、寝具などに潜って産卵をします。
〇効果的なダニ対策(アレルギー予防)
「ダニを増やさない環境をつくること」と「今いるダニ等(生きているダニだけでなく、その糞や死骸を含む)を除去すること」が効果的な対策です。
(1)湿度環境をコントロールすること
家の中に住むダニは低湿度の環境に弱く、50%以下での生存は困難となります。
・天気の良い日は窓を開け、部屋の風通しをよくして部屋の中の湿気を取り除きましょう。
・梅雨時期などには除湿機やエアコンを上手に利用しましょう。
(2)常に部屋を清潔に保つこと
床面をていねいに清掃することにより、ダニの餌となるものやダニの虫体や死骸などのアレルゲンを取り除くことができます。
・畳やじゅうたんはゆっくり掃除機をかけましょう。目安は、1畳あたり1分間以上です。
・フローリングは埃が舞いやすいので、水をよくきった雑巾がけやモップもしくはワイパーがけ(拭
き掃除)のあとに掃除機をかけましょう。
(3)寝具は天日干しの後たたいて、さらに掃除機をかけること
・これを何度も繰り返していると、寝具全体のダニやアレルゲンを少なくすることができます。
(掃除機がけの目安は、片面1分間以上です。)
・梅雨時期には布団乾燥機を使用するのも効果的です。
・さらに寝具を丸洗いすると、アレルゲンを洗い流すことができますので、これを半年に1回ぐらい
定期的に行うと効果的です。
カビが健康に及ぼす影響と対策
〇カビの影響
カビ自体もアレルゲンですが、さらに問題なのは、強力なアレルゲンであるダニの餌になることです。
また、抵抗力の弱い人は、空気と一緒に吸い込んだカビが肺にまで入り込むと、肺炎を起こすことがあるため、抵抗力の弱い人が長時間過ごす部屋は、特にカビが増えないように注意しましょう。
〇カビの発生条件と対策
カビの胞子は目には見えませんが、空気中のいたるところに漂っています。そして、胞子が落下したところに、栄養分、酸素、適度な温度、水分があれば、発芽して成長していきます。
カビが発生しやすい環境は、温度25℃~30℃、湿度70%~95%であり、特に湿度80%を超えると、猛烈な勢いで繁殖します。
カビを増やさないためには、湿度のコントロールが基本となります。ダニ対策と同じように、天気の良い日には意識的に換気を行い、部屋の中の湿気を取り除きましょう。
住居環境の改善とアレルギー疾患
アレルギー疾患の治療は、時として薬物治療のみに頼りがちです。
しかし、アレルギー症状の原因となるアレルゲンへの対策なくして、アレルギー疾患の治療は考えられません。
アレルゲンの多くは、私たちが一日の大半を過ごす住まいに起因するものが多く、ダニやカビはその代表的なアレルゲンといえます。
これらのアレルゲンを回避・除去し、住居環境を改善することは、アレルギー疾患の根本的治療として、さらには発病予防の対策として非常に重要なことです。