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#20 働く人の心の健康を支えるあさかストレスケアセンター

3 すべての人に健康と福祉を
ページID:0143972 更新日:2025年4月11日更新 印刷ページ表示

あさかストレスケアセンター
植田寛志さん 井上綾乃さん

 

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進学や就職、人事異動、子どもの入学など、春は生活が変化する季節。環境の変化は、心の揺らぎにつながることもあります。今回は、働く人の心の健康を支える「あさかストレスケアセンター」の思いをお伝えします。がんばりすぎて心や体に不調を感じた時の、対処法のヒントもご紹介します。

 

モヤモヤした感情は口に出してみて

 

人間関係や仕事の進み具合、業績や家庭との両立など、仕事の悩みは働く人の数だけあります。心と体は密接につながっていて、悩みが心身の不調にあらわれてくると、仕事でも私生活でもいつも通りのパフォーマンスを発揮できなくなってしまうこともあるでしょう。

 

モヤモヤしていることを口に出してみることは大事です。話すことで少し気持ちが軽くなることもあるし、頭の中が整理されることもあるんです」

 

そう話すのは、あさかストレスケアセンターでカウンセリングを担当している精神保健福祉士の井上綾乃さんです。カウンセリングとは、相談者の話をじっくり聞いて考えや気持ちを整理したり、日常生活や社会生活の課題を解決に近づけたりすること。井上さんは同センターで10年近く、働く人の悩みに寄り沿っています。

 

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あさかストレスケアセンターで提供しているサービスのひとつが、「従業員支援プログラム(通称EAP)」です。登録している企業や団体の従業員は、電話やメールでいつでも相談することができます。

 

企業の中には、従業員の心の不調を相談できる窓口を人事や総務が担当しているケースもよくあるといいます。あさかストレスケアセンター事業推進室の植田寛志さんは「第三者であるカウンセリングの専門家だからこそ話しやすいこともあるでしょうし、アドバイスできることの幅も広い。誰かの悩みが楽になることが、ゆくゆくは職場全体の働きやすさにつながります」と話します。​

 

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さまざまな要因で心の不調を抱える人が多い中、従業員のメンタルへルスを守ることは経営上の大事な要素になっています。従業員50人以上の事業所で必須となっているストレスチェックは、少人数の事業所でも義務化される予定です。

 

EAPでは、長期間休職した人が職場復帰するための支援や、ハラスメントなどに関する共通認識を育む社内研修会も行っています。相談内容やストレスチェックをもとに職場環境の改善を支援するサービスもあり、従業員が心身ともに健康で働き続けられる職場環境を目指して導入を希望する事業者が増えているのだそう。2025年3月時点で、福島県を中心に45事業所、約3万人がEAPを利用しています。

 

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EAPの一環で行われているハラスメント防止研修

 

悩みの大小は測れない

 

いま、働く人はどんなことに悩みを抱えているのでしょうか。仕事のこと、家庭のこと、自分自身のこと―。EAPを利用する企業の従業員からは、さまざまな相談が寄せられているそうです。「本当にどんなことでも相談していいんです」と井上さんは話します。

 

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明るくて清潔な受付

 

「たとえば新入社員の方から、上司とどう関わったらいいか、会社でどのように振る舞えばいいかわからないといった相談を受けることもあります。上司が忙しそうで質問しづらいのなら『今お時間いいですか?』とクッション言葉を使って話しかけてみるとか、年齢の近い先輩を頼ってみるなどアドバイスします。その後も一定期間フォローさせてもらうことで、不安を和らげるお手伝いをしています。

悩みの大小って、なかなか測れないものだと思います。ひとつの悩みがほかの悩みに波及していくこともありますので、気持ちを吐き出したいとか、ちょっと荷を下ろしたいという感覚で相談していただきたいです

 

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ハラスメントなど相談者だけで解決が難しい問題は、相談者がどう解決したいか、何を望んでいるのかよく確認したうえで相談者の所属先に仲介します。また、家族が心の調子を崩していることが仕事のパフォーマンスに影響することも。このため、勤務先がEAPを利用している人の家族も、無料でカウンセリングを受けることができるといいます。

 

環境の変化で心が揺らぐのは当たり前

 

環境の変化が多い春は、カウンセリングの申し込みが増える時期だといいます。1,2ヵ月はなんとか頑張れても、慣れてきた2,3ヵ月後に不調が出てくる。そんな人も多いのだそう。「風邪の引き始めなら無理して仕事に行くこともあると思いますが、無理が重なると寝込んでしまうのと同じような感覚だと思います」と井上さんは話します。

 

環境の変化で心が揺らぐのは特別ではない、当たり前のこと。そのような時期に自分自身をいたわれずに体調を崩したり、自分自身を責めてしまったりする方が多いと感じます。これまで頑張ってきた方に、これ以上がんばれとは言えない。相談してくれた方にはまず、つらいと感じる状況で耐えてきたことをねぎらうようにしています

 

自分で心身の不調に対処するには

 

あさかストレスケアセンターでは、職場がEAPの対象でなくとも個別にカウンセリングを受けることができます。一方で、ニーズが高く予約が取りづらい状況があるそうです。心の揺らぎを感じても、すぐにカウンセリングを受けられない時はどんなふうに対処すればよいのでしょうか。

 

井上さん「まずは身近な信頼できる人に話を聞いてもらうといいと思います。不安になった時に『大丈夫』とか『気にしないでいい』とか、自分自身にかけてあげるおまじないの言葉を用意しておくのもおすすめです。

 

いっぱいいっぱいになっていると、これまでできていた気分転換の方法を忘れてしまうこともあります。余裕のある時に、自分が楽しめることや心が落ち着くことなどを、カルテのように書き留めておくのもいいですね。気分転換の方法は、あればあるほどいいんですよ

 

あなたの気分転換の方法はどんなものがありますか?

 

ぜひ思い出して、お守りのように心の隅に留めておいてください。専門家に話を聞いてもらいたいときは、ぜひカウンセリングを利用してみましょう。そうして自分自身をいたわることが、自分らしくいきいきと働き続けるうえで大事なことのかもしれません。

 

*井上さんと植田さんが健康のために続けていることは?

 

井上さん「週1回贅沢なデザートを食べたり、推しの動画を観たりと、自分へのごほうびを大事にするようにしています。数分でも子育てや家事、仕事から解放されて何者でもない自分自身に戻れる時間をつくることも立派なごほうび。今日も自分の時間が作れた!って思うと満足度も上がりますよ」

 

植田さん「デスクワークばかりなので、毎晩寝る前にストレッチや軽い筋トレをしています。大学を出てからなので、20年近く続けてるんじゃないかな。やらないと落ち着かなくて、歯を磨かないと寝られない感じに近いかもしれませんね。天気が良ければ、ウォーキングもしています」

 

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あさかストレスケアセンター<外部リンク>


<動画>ショートムービーをご覧ください。

2025年4月11日公開

Photo by 佐久間正人(佐久間正人写真事務所<外部リンク>
​Movie by 杉山毅登(佐久間正人写真事務所<外部リンク>
Text by 五十嵐秋音(マデニヤル<外部リンク>