ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > ココカラこおりやま! > 注目!コンテンツ > Health Wave KORIYAMA > #21 希望者に寄り沿い、無理のない禁煙をサポートする禁煙支援薬局

本文

#21 希望者に寄り沿い、無理のない禁煙をサポートする禁煙支援薬局

3 すべての人に健康と福祉を
ページID:0147519 更新日:2025年5月2日更新 印刷ページ表示

郡山薬剤師会会長 山口仁さん
薬剤師 村上智恵子さん

 

Health Wave KORIYAMA21-1

 

今回ご紹介するのは、身近な薬局で行われている禁煙支援の取り組みです。禁煙に限らず、生活習慣を変えるのはとても忍耐のいること。郡山市内で約40ヵ所ある「禁煙支援薬局」では、薬剤師が禁煙補助薬を使って、禁煙希望者に寄り沿いながら無理のない禁煙をサポートしています。

 

薬剤師の声掛けを禁煙のきっかけに

 

禁煙支援薬局に在籍する薬剤師は、たばこの害や禁煙について講習を受けており、専門知識を持っています。禁煙するためにかかる医療機関というと、禁煙外来を思い浮かべる人も多いかもしれません。どうして薬局で禁煙支援を行っているのでしょうか。

 

郡山薬剤師会会長の山口仁さんに、薬剤師の役割をお聞きするところからひも解いていきます。

 

「薬剤師には、処方された薬の量は正しいのか、副作用歴がないか、他の薬との飲み合わせは心配ないか見極めて、薬が患者さんに本当に合っているか確認する、医療のラストアクセス的な役割があると思っています。医薬品や健康食品をおすすめしたり、運動や適切な休養などのアドバイスを行うこともあります。もちろん処方薬も大事ですが、ただ薬を説明して終わりというわけではないのです

 

Health Wave KORIYAMA21-2

喫煙はさまざまな疾患を誘発します。例えば、高血圧もその一つといわれます。血圧を抑える薬を処方された患者さんが喫煙しているなら、根本的な改善のために禁煙をおすすめすることがあるのだそう。禁煙支援は、薬剤師が日常的に担っている役割の延長線上にあるのです。

 

私も喫煙者だったのでわかりますが、たばこをやめようと思ったことのない喫煙者ってほぼいないと思うんです。心のどこかでやめたい気持ちがあっても、きっかけがないとなかなかやめられないんですよね。薬局でなら、患者さんの健康状態を把握したうえで第三者としてアドバイスができる。薬剤師からの声掛けが、禁煙のきっかけになればと考えています

 

禁煙はできる範囲内で少しずつ

 

薬局では、処方箋がなくても禁煙支援を受けることができます。禁煙外来のメリットの一つは飲み薬の処方を受けられることですが、飲み薬は2025年3月時点で2年ほど出荷停止の状態が続いています。このため、処方されるのは処方箋がなくても購入できる禁煙補助薬のニコチンパッチが中心。禁煙支援薬局は通院できる時間が限られている人も足を運びやすいため、自力での禁煙に失敗したことがある人が次のステップとして利用するのにおすすめです。

 

Health Wave KORIYAMA21-3

禁煙のサポートを希望している人に対し、薬局ではどのようなサポートを行っているのでしょうか。山口薬局大町店の薬剤師・村上智恵子さんにお聞きしました。

 

例えば1日20本吸っている方は、とりあえず半分にしてみる。すぐゼロにするとストレスがかかるので、どんなことが辛いのか話を聞きながらできる範囲内で少しずつ減らしていきます

 

Health Wave KORIYAMA21-4
自力での禁煙がうまくいかなかった人には、禁煙時のイライラ・集中困難などの症状を緩和してくれる「禁煙補助パッチ」などの禁煙補助薬がおすすめなのだそう。

 

禁煙補助パッチを使う場合、最初の6週間はニコチン含有量の多い「パッチ20」を1日1枚、起床時から就寝時まで体に貼り付けます。次の2週間はニコチン含有量を減らした「パッチ10」に変更。トータルで8週間使用するのが基本ですが、「意志が強く禁煙を続けられる自信がある人はそれより早く終了することもできます」と村上さん。

 

山口薬局大町店では2週間ごとに足を運んでもらい、副作用などの状況を確認しながら禁煙をサポートしています。

 

喫煙以外の楽しみを一緒に探したり、禁煙を始めてからプラスになったことを確認したりして、禁煙の効果を実感してもらうことを心掛けています。たばこを買っていたお金を貯めて旅行に行くなど、禁煙が成功した後の楽しみを見出すのもいいですね。

みなさん健康に元気に過ごしていただきたいので、たばこをやめて身体が楽になったという声を聞くとうれしくなります。やめるとごはんがおいしくなるようですよ」

 

将来の喫煙者も減らしたい

 

2022年の調査によると、福島県の男女合わせた喫煙率は21.4%で全国ワースト1位。全国平均の16.1%より5ポイントも高い割合です。普段から患者さんと接している村上さんは、たまにしか薬局を利用しない人と、通院していて定期的に薬局を利用する人とでは、通院している人の方が喫煙率は高いとみているのだそう。

 

「禁煙支援をしていると、たばこを精神的なよりどころにしている人がとても多いと感じます。たばこは自分だけではなく、家族や周りの人の健康にも影響を及ぼしてしまいます。煙が部屋の中にも吸着して、そこに入っただけでも影響を受けてしまうほど強いのです。

血圧なら薬を飲めば収まりますが、禁煙は自分自身でどうにかするしかありませんし、早くやめた分だけ病気のリスクが下がります。年齢的な節目でやめる、という方もいますが、1年でも2年でも早くやめていただけるといいなと願っています

 

 

Health Wave KORIYAMA21-5

薬剤師は薬局の外でも禁煙活動を行っています。郡山薬剤師会が学校に薬剤師を派遣して行う薬物乱用防止教室のテーマの一つが、たばこです。「小中高校生の段階から禁煙指導をすることによって、将来的に喫煙する人を減らしていきたい」と山口さんは話します。

 

禁煙で最も大事なことは強い意志だと、山口さんと村上さんは口をそろえます。一人で継続するのは大変ですが、心強いサポーターがいることで禁煙までの道のりは少しゆるやかになるかもしれません。禁煙を考えているけどタイミングをつかめていない人、たばこをやめたいけどやめられないという人は、ぜひ禁煙支援薬局を利用してみてください。

 

Health Wave KORIYAMA21-6

 

*山口さんと村上さんが健康のためにしていることは?

 

山口さん「たばこを吸い始めたのは大学時代です。まわりに喫煙者が多く、ついかっこつけて手を伸ばしてしまいました。それが習慣になり、気づいたらやめられなくなっていました。禁煙には何度も挑戦しましたが、東日本大震災での被災をきっかけにようやく成功。

喫煙していたころは100メートルのジョギングでも息が上がっていましたが、今ではフルマラソンを完走できるようになりました。今年の東京マラソンも無事完走。タイムは今ひとつでしたが、走り終えた達成感は格別でした」

 

村上さん「朝起きて、テレビをつけて、6時25分にEテレの『みんなの体操』を見ながら10分間体操してます。友達がやっていると聞いてまねしました。体のいろんな部分を伸ばすからか腰痛が楽になって、最近はかぜで寝込むこともなくなりました。一緒に続けている友達と一緒に頑張っている気持ちにもなります。5,6年ほとんど毎日続けていますが、休みの日はたまにさぼりますよ」

 


禁煙にチャレンジしよう(薬局での禁煙相談がスタート!)


<動画>ショートムービーをご覧ください。

2025年5月2日公開

Photo by 佐久間正人(佐久間正人写真事務所<外部リンク>
​Movie by 杉山毅登(佐久間正人写真事務所<外部リンク>
Text by 五十嵐秋音(マデニヤル<外部リンク>