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#10 笑いは心の栄養。郡山笑いヨガくらぶが広げる「笑いのネットワーク」

3 すべての人に健康と福祉を17 パートナーシップで目標を達成しよう
ページID:0102356 更新日:2024年2月16日更新 印刷ページ表示

郡山笑いヨガくらぶ

 

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※今回の記事は、次の動画をご覧になってからお読みいただくのがおすすめです。

 

「ホ・ホ・ハハハ ホ・ホ・ハハハ イエーイ♪」

「いいぞ いいぞ イエーイ♪」

 

手拍子とともに響くのは、一度聞くと脳内ループが止まらなくなりそうな陽気な掛け声。この”基本のリズム”をベースに、笑いながら体を動かす体操が笑いヨガです。

 

最初は面白いことなんてなくっても、みんなで笑うと本当におもしろくなってきて、気づくと元気になっている。そんな楽しい場づくりを進めている、郡山笑いヨガくらぶの活動をご紹介します。

 

 

必要なのは吐く呼吸だけ。アイデア次第でなんでも体操に

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蛭田登子さん(左)

 

郡山市中央公民館で月1回開催している講座にお邪魔すると、開始前にもかかわらず20人ほどが集まっていました。既に廊下まで笑い声が漏れ聞こえてきます。手拍子が始まると、参加者のみなさんは自然と輪になる。これがスタートの合図です。

 

「よくヨガマットが必要ですか?って聞かれるんですけど、基本的には体一つで誰でもできます」

 

そう紹介してくれたのは、郡山笑いヨガくらぶを主宰する蛭田登子さんです。

 

笑って息を吐くことが、笑いヨガの呼吸法。それさえあれば、難しいことはありません。笑いを組み合わせたリーダーの動きをまねて、とにかく笑う。例えば、秋の味覚といえばナシ。肘を上げて笑いながら頭上のナシの実を木からひねり取る動作を繰り返し、「いいぞ、いいぞ、イエーイ」の掛け声で終了。これを、さまざまな動きを組み合わせて行います。

 

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「笑うこと自体が全身を使う有酸素運動なので、アイデア次第で本当に何でも体操にできちゃうのが、笑いヨガの面白いところ。その日の参加者の体調や状況に合わせて、即興でやっています。肩が痛い人でも自分なりにできるし、もっとやりたいって人は自分でもっと激しく動けるし。呼吸さえできていれば強度は人それぞれ調整できます」

 

作り笑いでも健康に?笑いの効果とは

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笑いヨガを福島県内に広めてきた蛭田さん

 

笑いヨガは、ヨガの発祥の地でもあるインドの内科医が考案し、現在は100ヵ国以上に広まっています。笑うことには、血流が良くなることによる代謝の促進や、免疫機能の向上、安眠効果があることがわかっています。一定時間笑い続ける笑いヨガは、会話中の一瞬の笑いよりも健康効果が得られやすいといわれているのです。

 

福島県立医科大学の大平哲也教授の研究では、生活習慣病の2型糖尿病で通院している42人に笑いヨガを続けてもらったところ糖尿病の指標に低下がみられ、笑いが血糖値を継続的に下げることに効果があることがわかっています。

 

県内各地の介護施設や企業・団体などで講座を行っている蛭田さんも、その効果の声を聞いているのだそう。

 

「痛みの緩和や、熟睡できるといった効果はよく聞きます。介護施設の出張講座で笑いヨガをした夜は認知症の患者さんがぐっすり眠れて、夜に徘徊することがなくなったという声も。私自身も、ガッツリ笑いヨガをやった日は寝つきがいいし、便通もびっくりするほど良いんですよ。

 

作り笑いでも、本当に面白くて笑っていても、笑いで生まれる健康効果は変わらないと言われています。よくないことがあると、ため息ついちゃうじゃないですか。どうせ息を吐くなら『ハァ』じゃなくて『ハハハッ』の方が、なんかいいですよね」

 

笑って、楽しく健康になれる場をもっと作りたい

 

蛭田さんは福島県内に笑いヨガを広めた第一人者です。

 

笑いヨガとの出会いは25歳の時。食育の資格を持っていたことから、食生活の講師として介護施設に勤めていましたが、その明るさや学生時代のスポーツ経験から介護予防運動の担当者に抜擢。「介護予防運動指導員」の資格を取り、高齢者施設などで運動指導を始めてすぐに、気づいたことがあったといいます。

 

「介護予防の体操って、笑いがこみ上げちゃう時があるんですよ。うまくできなくて『ん?なんだ?』ってところから、だんだんと笑いが生まれていく。まじめにやるより、笑いながら、楽しみながら体を動かした方が面白いんじゃないかと思って『レクリエーション 笑い』って検索したら、Youtubeで笑いヨガの動画がヒットしたんです。これだ!と、稲妻が落ちたような感覚でした」

 

蛭田さんはそこから約半年後の2014年に、笑いヨガの講座を主導する「リーダー」の資格を、2015年にはリーダーを育成できる「ティーチャー」を取得しました。そのとき蛭田さんは27歳で、最年少の有資格者。当時は笑いヨガの認知が現在よりも低かったことから、最初の1年間は笑いヨガがどんなものか知ってもらうために、高齢者施設を中心に無料で年間100件ほどの講座を行っていたといいます。

 

奇しくもその年はちょうど、大平教授が大阪大学から福島県立医大に赴任してきたタイミング。蛭田さんは大平教授の先導でスタートした笑いヨガ講座「笑って健康教室」で、笑いヨガの時間を任されるようになりました。

 

お二人の協働で、県内での笑いヨガの認知は一気に加速していきました。蛭田さんが拠点を置く郡山市や、笑って健康教室が行われる福島市だけではなく、県内全域から講座の依頼が増えていきました。

 

笑って、楽しく健康になれる場をもっと作りたい。

そのために、県内の公民館あたり1人は笑いヨガの講座ができる人を置きたい。

 

それが蛭田さんと大平教授の夢です。「その夢に向かって止まらないっていうか、止められないっていうか」。地域に笑いヨガの種をまき、夢をかなえるため、蛭田さんは2016年の7月に「郡山笑いヨガくらぶ」を設立しました。

 

どんな世代でも笑いヨガは効果的

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現在、福島県内にはいわき、須賀川、会津、桑折に4つの笑いヨガクラブがあります。80歳を超えて、ティーチャーとして活躍している方もいるのだそうです。

 

ここに来ると元気になる、ストレス発散になる、憂さ晴らしになる、来ないとなんか調子狂っちゃうーー。そんな声も聞かれる毎月のクラブ。リーダーを目指す人の実践の場としてだけではなく、通いの場としても定着してきました。

 

取材にうかがった日も、はじめて参加するという方が何人かいらっしゃいました。勤め先の介護施設で笑いヨガを取り入れ利用者やスタッフの健康に生かしたいというケアマネージャーの方や、落ち込んで元気のない友人を励ましたくて、と訪れた方。あまりの迫力にはじめはちょっと引き気味でしたが、だんだんと巻き込まれて晴れやかな笑顔に変わっていきます。

 

「初めて来た人も、笑いヨガをやる前と後じゃあ別人のように表情が清々していて、まるで違うんです。はじめは元気がなくて、作り笑いでも、最後は笑いが伝染していって、本当に面白くなっちゃうんですよね」

 

体の栄養=食、心の栄養=笑い。そう蛭田さんは語ります。

 

「私も4歳の娘がいますが、笑いヨガをやっているおかげで娘にきつくあたらずにいられるのだと思います。虐待のニュースをよく耳にしますが、そうした問題も笑いヨガで解決できるんじゃないかな。社員同士のコミュニケーション向上のために、朝礼で笑いヨガをする企業もあるんですよ。

 

今は高齢者向けの講座をする機会が多いですが、多くの世代の方に笑いヨガを伝えていきたいと思っています」

 

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最後まで読んでいただいたからには、表情だけでもやってみましょうか。

さぁにっこり笑って、

 

ホ・ホ・ハハハ♪ ホ・ホ・ハハハ♪ ホ・ホ・ハハハ♪ イエーイ

いいぞ、いいぞ、イエーイ♪ いいぞ、いいぞ、イエーイ♪

 


講座の情報などは郡山笑いヨガくらぶのホームページでご覧いただけます。

https://koriyama-waraiyoga.crayonsite.net/<外部リンク>


2024年2月16日公開

Photo by 佐久間正人(佐久間正人写真事務所<外部リンク>
Text by 五十嵐秋音(マデニヤル<外部リンク>
Interview by 片倉菜々(マデニヤル<外部リンク>
Movie by 杉山毅登(佐久間正人写真事務所<外部リンク>