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#11 子ども食堂は、親も子もほっとできる地域の居場所

3 すべての人に健康と福祉を
ページID:0105214 更新日:2024年3月14日更新 印刷ページ表示

集合写真

キッチンさとう

 

子ども食堂と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?

 

子どもの居場所、というのはもちろんですが、「育児にちょっと疲れた」「子どもだけで食事させるのが心配」「子育てをしている人と話したい」。そんな親にとっても、安心して楽しく過ごせる地域の居場所。それが子ども食堂です。

 

2024年3月時点で、郡山市子ども食堂ネットワークに登録している市内の子ども食堂は27団体(31ヵ所)あります。今回は、郡山市中野にある喫茶店・さとう珈琲本店で週に一度、金曜の夜に開かれている子ども食堂「キッチンさとう」をのぞいてきました。

 

 

人気の喫茶店が金曜夜は子ども食堂に

 

古民家を改装した趣のある空間で、本格的なコーヒーをいただけるさとう珈琲本店。子ども食堂「キッチンさとう」は、金曜の夜18時の営業終了と入れ替わりでオープンします。運営を担っているのは、さとう珈琲本店とその運営会社のスタッフ、ボランティアのみなさん。子どもは無料、大人は300円で利用できます。

 

親子の参加者

 

来場者の暮らす地域や年代はさまざま。小学生の子どもと親の2人組、1歳から小学生の3人のお子さんとお母さん、保護者の帰りが遅く普段は子どもたちだけで食事をしているという近所の兄弟もやってきました。子どもたちは荷物を置くと、お茶を運んだり、ごはんをよそったりと、自然とお手伝いを始めます。

 

お手伝いする子ども

 

食卓に着いたのは、保護者と子ども合わせて20人ほど。準備ができたら、代表の子が前に出て、いただきますのごあいさつ。

 

みんなでいただきます

 

この日のメニューは、牛肉コロッケ、唐揚げ、ほうれん草の胡麻和え、サラダ。デザートは、自分でトッピングできるクレープです。

 

この日のメニュー

 

食べ終えると、20時までは自由時間。取材にうかがった日は、節分が近かったため豆まきをしたり、輪投げをしたり、追いかけっこをしたり、スタッフに絡んだりーー。店内は普段の落ち着いた雰囲気とは打って変わって、はしゃいで、笑って、おしゃべりする声に包まれます。

 

食事が終わって遊びだすこども

 

 

温かい食事のおいしさ・楽しさを伝えたい

 

普段は一人で食事をしている子が、誰かとご飯を食べたり、会話したり、遊んだりできる居場所を作ってあげたかったんです。親御さんも、ここに来てゆっくりしたぶん、子どもにもっと優しくなれると良いですよね。」

 

​そう話すのは、さとう珈琲本店の運営会社である株式会社ランチボックスの橋本和枝さんです。

 

スタッフ橋本さん

 

「温かいご飯のおいしさとか、みんなで一緒に食事する楽しさを味わってもらえる、ほっとできる居場所になりたい。だから、ご飯を提供するだけじゃなくて遊ぶ時間を作ろうと思ったんです。困ったことがある時に、頼ってもらえる場所にもなると良いですね。将来はさとう珈琲で働きたいっていう子もいるんですよ。

 

親御さんからは、買い物も、ご飯作りも、洗い物もしなくて良い。それだけで心の余裕が生まれるという声を聞きます。人間、お腹が空くとロクなことを考えない。お腹が満たされることで、考え方も前向きになれると思うんです。」

 

橋本さんとじゃれあう子供

 

同じテーブルを囲んでいたお母さん3人組は小学3年生のお子さん同士が同級生で、誘い合って来るようになったといいます。​

 

「金曜日の仕事終わりはくたくたで、ごはんのメニューを考えるのも大変。子ども同士は遊べるし、お手伝いをしたり、大人と話したりしている姿を見ると成長を感じますね。親同士も学校のことや子どものこと、仕事のことなどおしゃべりしてリフレッシュできるんです。」

 

クレープを頬張る子ども

 

2023年7月から始まったキッチンさとう。はじめは参加者6人でしたが、口コミや店舗に掲示してある案内で広まっていき、今では20人の定員がいっぱいになることも多いのだそうです。

 

 

ここに来る子どもの成長が楽しみ

 

橋本さんと一緒に、メニューや遊びの企画を考えているのが井戸川優花さん。普段はカフェで調理や接客を担当しています。周りには常に誰かしら子どもがくっついている人気者です。

 

スタッフの井戸川さん

 

私自身、これまで子どもと遊ぶ機会があまりなくて、ここが子どもたちの集まる場所になるイメージができなかったんです。でも、子どもたちから手を繋いでくれたりとか、ぎゅっとしてくれたりとか。そういうのがうれしくて。今は子どもたちの笑顔とか、保護者の方が喜んでいる姿が見られることにすごくやりがいを感じていて、疲れていても頑張れちゃうというか。あの子たちに会えると思うと、毎週が楽しみなんですよね。

 

子どもたちに囲まれる井戸川さん

 

お2人とともに運営を支えているのが、ボランティアのみなさん。2024年3月時点の登録者は18人で、地域の方や大学生など毎回3~4人がローテーションで顔を出して、調理をしたり、子どもと遊んだり。「遠くに住んでいる孫の面倒はあまり見られないから、ここに来る子どもの成長を楽しみにしている」という人もいらっしゃいました。

 

子どもと触れ合うボランティアスタッフ

 

チームプレーみたいな感じで一緒に見守って、一緒に子どもを育てている感じ」と橋本さんは話します。利用する側も運営側も、心が軽くなる。そうした和やかな雰囲気が、ここには漂っています。

 

配膳をするボランティアスタッフ

 

 

必要な人に来てもらうため開設日を増やしたい

 

現在週1日のキッチンさとうの開設日を、もう1日増やす構想もあるのだそう。その背景には、利用希望者が増えていること、そしてそのことで本当に必要な人に支援の手が行き届かなくなることへの歯がゆさがあるといいます。

 

今後の抱負を話す橋本さんと井戸川さん

 

橋本さん「お子さんが1人で食事をする日が多かったり、親御さんが疲れていたりといった、ここに来てほしい人たちの中には、『子ども食堂に行っている=貧困』と思われたくないという方もいらっしゃるようなんです。『行ってみたいけど勇気が出ない』という声もあって。より多くの方に気軽に来ていただくために、利用日を増やしたいと考えています。

 

夜の開催なので、子どもが来るにもどうしても保護者の送迎が必要。でも、こうした場が本当に必要な家庭こそ、それが難しいと思います。気になる子がいる、と情報をもらうことも多いのですが、その先にはなかなか進めなくて。今後は、近くの子であればカフェの営業時間でもお弁当を渡すとか、そうしたこともできれば良いですね。

 

参加したお母さんと話す橋本さん

 

郡山市子ども食堂ネットワークによると、子ども食堂は2024年3月時点で郡山市の51小学校区のうち、21校区に設置されています。子ども食堂への理解が進み、ここ数年で拡大しつつありますが、同ネットワークの担当者は「子どもたちが気軽に食堂を利用できるよう、すべての小学校区にあることが理想」と話します。2024年の夏休みには、町内会と連携し、子ども食堂のない小学校区でも”出張子ども食堂”を開催する予定です。

 

同じ人が迎えてくれて、食事を出して遊んでくれる。そこは、子どもも親も、もう一つの家のような、ほっとできる場所になるでしょう。まずは一度、ただ外食するような気持ちで子どもと足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

楽しく食事をする参加者


キッチンさとう

所在地:郡山市中野一丁目18(さとう珈琲本店)

開設時間:毎週金曜18時00分~20時00分(祝日休)※前日までの要予約

Instagram:@ kitchen.satoh<外部リンク>

Tel:080-5625-5929(平日9時30分~17時00分)

 

■郡山市子ども食堂ネットワークに登録している子ども食堂

子ども食堂を利用する(子ども食堂マップ)


<動画>ショートムービーをご覧ください。

2024年3月14日公開

Photo by 佐久間正人(佐久間正人写真事務所<外部リンク>

Text by 五十嵐秋音(マデニヤル<外部リンク>

Interview by 片倉菜々(マデニヤル<外部リンク>

Movie by 杉山毅登(佐久間正人写真事務所<外部リンク>