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#27 心もからだも健康にする料理。健食学レストラン エルマールが取り組む「健食学」の健康づくり
健食学レストラン エルマール
料理長
伊藤大祐さん
健院エルキューブ
L-CUB(エルキューブ)事業部 副部長
宗形勇作さん

「健康づくり」と聞くと、体を動かしたり、規則正しい生活をしたりすることを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、毎日の食事もまた、心とからだの健康を支える大切な要素となるものです。
郡山市では、市と連携し、「こおりやま食の健康応援店」として食を通じた市民の健康づくりに取り組んでくれる店舗や施設を募集しています。その「こおりやま食の健康応援店」の1つが、郡山市にある「健食学レストラン エルマール」です。
エルマールでは、食材の鮮度や、食材に含まれる栄養素、そして調理法にまで配慮しながら、おいしい料理を提供しています。地域の方々が気軽に訪れるレストランである一方、同じグループが運営する高齢者住宅や保育施設と連携し、食を通じた健康づくりで地域の人々を支えています。
今回は、エルマール料理長の伊藤大祐さんと、高齢者向け賃貸集合住宅「健院エルキューブ」の運営を統括する株式会社エヌジェイアイ L-CUB(エルキューブ)事業部副部長の宗形勇作さんにお話をうかがいました。
地中海式食事法の考えをベースにメニューを提供

エルマールの料理を担当する伊藤さんは地元郡山市の出身。高校卒業後に料理の世界に入り、すでに20年以上の経験を持ちます。キャリアのスタートは和食でしたが、洋食の世界でも経験を積みました。エルマールでは主にパスタやピザを提供しています。

そんな伊藤さんの経験を活かし、エルマールの料理には健康を意識した工夫が随所に取り入れられています。その考え方のベースとなっているのが、地中海式食事法です。
「その名のとおり、地中海沿岸の国々で広く取り入れられている食事法です。肉類に偏らず、魚介や野菜、穀物を多く取り入れることが特徴で、良質なオリーブオイルを使って調理します」(伊藤さん)
地中海式食事法は、心血管疾患や糖尿病、がんなどの予防に効果があるともいわれています。この食事法をもとに、新鮮な野菜や魚介にこだわり、なるべく塩分を控えた味付けを施しています。
食べ進めていくうちにちょうど良くなる味付けを

塩分控えめの食事と聞くと、つい物足りなさを感じてしまう方が多いかもしれません。そこで伊藤さんが工夫を凝らすのが、和食の経験を活かした「だし」の活用です。塩分を抑える代わりに、だしで素材の味を引き出します。
「最初のひと口で充分な塩分を感じる味にするのではなく、食べ進めていくうちにちょうど良くなる味付けを意識しています。“少し物足りないかな”ぐらいでも、最後には“おいしい”と思ってもらえるような味が、エルマールで目指す味です。野菜や油の量も料理ごとに細かく調整しています」(伊藤さん)

調理はもちろん、新しいメニューの開発にも携わる伊藤さん。管理栄養士とも相談しながら、安心かつ、からだに必要な栄養がしっかり摂れるメニューづくりを進めています。
「特に意識しているのは、野菜の種類を多く取り入れることです。サラダには最低でも10種類の野菜を使うようにしています。色とりどりの野菜を使えば見た目もきれいですし、栄養のバランスも良くなりますからね」(伊藤さん)
高齢者の暮らしに彩りを与えるレストラン
エルマールと同じ敷地には、介護サービスなどを提供する賃貸住宅「健院エルキューブ」があります。全部で35室あり、下は60歳代、上は100歳までと、幅広い世代の方が入居しています。介護保険施設とは異なり生活の自由度が高く、必要なサポートを受けながら、ご自身の意志で快適な生活を送ることができます。

エルマールは一般の方が誰でも利用できるレストランですが、実はエルキューブに入居する方も多く利用しています。エルキューブの運営を統括する宗形さんによると、入居者の方にとって、エルマールでの食事は日々の楽しみの一部になっているそうです。
「入居者の方の食事はエルキューブで毎日3食提供していますが、週1回など定期的にエルマールを利用される方も少なくありません。朝と夜はエルキューブで食べ、お昼はエルマールで好きなものを食べるという方もいらっしゃいます。日常の食事だけでなく、ご自身のお誕生日にご家族と食事をされたり、遠方から訪ねて来たご友人とお茶を楽しんだりと、それぞれにいろいろな形でエルマールを利用していらっしゃいます」(宗形さん)

宗形勇作さん
宗形さんは、「入居者の方がエルマールで食事をすることには、単に日々の食事を摂ることに留まらない効果があるのでは」とも言います。
「レストランに行くとなれば、服を着替えたり、女性の場合はお化粧をしたりしますよね。高齢になると、どうしても外出が億劫になったり、手近な食事で済ませてしまったりしがちですが、エルマールの存在が外出のきっかけとなり、前向きに日々を送っていただくことにつながっているんです」(宗形さん)
料理人としてのやりがい
敷地内には保育園もあり、通園する子ども達も、園での生活のなかでエルマールと関わる時間があります。その一つが、親子ピザ教室です。園児とその保護者が協力しながらピザを作る教室を年に2回、伊藤さんの指導のもと開催しています。子どもにとっては、自分が食べるものを自分の手で作ることの楽しさを知る時間として、保護者にとっては、日々の忙しさを忘れ子どもと一緒に楽しめる時間として、どちらにとっても印象に残る体験を提供しています。
他の業界と同様、料理の世界でも人手の確保が大きな課題となっています。「料理はやりがいのある仕事だと若い人に伝えていくことも大切な役割」と伊藤さん。エルマールで料理の魅力を知った子どもが成長し、伊藤さんとともに活躍する。そんな未来がやってくるかもしれません。

伊藤大祐さん
伊藤さんはこれまでも、健康への配慮とともに地元の食材を取り入れることを大切にしてきましたが、今後はさらにその取り組みを進めていきたいと語ります。郡山市内、福島県内にはおいしい食材がたくさんあります。その食材を季節ごとに活かしたメニューを提供し続けたいと語ります。
「春夏秋冬、どの季節に来てもらっても楽しめるメニューを考え、何度も足を運んでいただくことで皆さんの健康をサポートする。そんな料理をこれからも作っていきたいです」(伊藤さん)
おいしく健康的な食事は心を豊かにし、私たちの体を支えてくれます。エルマールは、私たちの心とからだの両方を支えるレストランとして、地域の暮らしに寄り添ってくれているのです。
■こおりやま食の健康応援店の申し込みや詳細はこちらをご覧ください。
https://www.city.koriyama.lg.jp/site/kokokara-koriyama/107209.html
<動画>ショートムービーをご覧ください。
2026年4月24日公開
Photo by 佐久間正人
Movie by 杉山毅登
Text by 高橋晃浩
(マデニヤル<外部リンク>)





