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005 子どもたちが本当の音楽の楽しみを教えてくれた【佐藤守廣氏】

ページID:0004545 更新日:2021年12月2日更新 印刷ページ表示

005 子どもたちが本当の音楽の楽しみを教えてくれた【佐藤守廣氏】

佐藤守廣氏の顔写真

10代~20代の頃、ただやみくもに優れた演奏技術の音楽だけに憧れていた。

例えば「ラ・カンパネラ」のような難曲を完璧に弾いてみたいという類いの妄想であった。もちろん私には、最初の1音さえあやしいのは言うまでもない。

しかし、30代になってやっと中学校の音楽教師として遅い出発をしたとき、それまでのぎらぎらした音楽観は脆くも崩れ去った。音楽室には、楽譜を読むことが苦手だったり、クラシック音楽には全く関心のない生徒たちが数多くいたのだ。駆け出しの音楽教師は厳しい現実を前にたちまち行き詰まってしまった。当然だが、教師としての力量が圧倒的に不足していたのだ。

先の見えぬ中、偶然かすかな希望を見つける日が私に訪れた。勤務地からおよそ100キロ近くも離れたふるさと郡山市で、ジュニアフィルハーモニーオーケストラの指揮をする機会に恵まれた。そこには、ただ純粋に音楽が大好きな子どもたちがいた。それぞれの学校の吹奏楽部・オーケストラ、なかには運動部に所属する傍ら、毎週日曜日の午後、小さな体にチェロやトロンボーンなどの楽器を背負い、昼食もそこそこに午後の練習に駆けつけていた。小学生から高校生の幅広い年齢の仲間たちには、技術の差など全く関係なかった。夢中で名曲に浸る姿は、それまでの私の迷いを吹き飛ばしてくれた。少しずつ私の音楽の授業も変化していった。まず、好きになってもらうのだ。生徒たちと音楽の喜びと感動を共有しよう!
年月が過ぎ、ジュニアフィルを巣立っていったメンバーの中からすばらしい音楽家が次々と生まれていった。昨年と今年、そんな彼らと第九の演奏を共にすることができた。まさに至福の時であった。音楽はやはりすばらしい!

活動写真1活動写真2

楽都郡山のイメージ図