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【博物館準備室コラムVol.4】 ~博物館の建築について~

ページID:0127335 更新日:2024年11月25日更新 印刷ページ表示

 歴史情報博物館準備室の菅野です。私は「郡山市歴史情報博物館」の設計及び建築主体工事における監督業務を担当しました。建設地は、狭隘で高低差もあり、施工条件等に厳しい制約があっため、特に施工管理、工程管理が大変な現場でありましたが、無事に竣工を迎えることができ、改めて工事関係者の皆様に深く感謝を申し上げるとともに、博物館に多世代の市民が集まり、地域の魅力を体感し、郷土愛を育む場所となることを望んでおります。

 

建物外観

<外観>

 今回は建物の特徴についてお伝えしたいと思います。

 建物の構造は、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、階数は地下1階、地上1階、延床面積は、約3534平方メートルです。

 本施設においては、文化財の保存又は公開のために、建物の耐震性、耐火性、防水性、空調設備、照明設備、防犯設備等、様々な配慮が必要でした。

 建物は耐火建築物で、耐震性においては、建築基準法の1.25倍の強度を確保し、大地震後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて機能確保が図られるものとしております。また、地下に収蔵庫を設けたため、防水性に留意し、土と接する部分にはドライエリアを設け、外気や地下水の影響を受けにくい構造とするとともに、収蔵庫の内装材には湿度を一定に保つことができる調湿建材を採用しております。

 その他の特徴として、屋根材に耐候性や耐食性に優れたアルミ板、外壁に塗装では出せない独特な模様で、溶融亜鉛メッキ処理による防錆効果が高い亜鉛リン酸処理スチールパネルを採用。内装は、木質化として床、壁、天井等に県産材の杉を積極的に用いるとともに、コンクリートの壁に杉板の型枠を採用し、豊かな陰影と、やさしく温かみのある空間を実現しております。

建物内観

<内観 プロムナード>

 また、カーボンニュートラルへの対応として、LED照明や太陽光発電設備、蓄電設備、また開口部は、遮熱性の高いLow-E複層ガラスを採用し、省エネルギ-性に配慮。トイレは、ベビーチェアやベビーベットなどの乳幼児用設備やオストメイト用設備も備え、更に感染症対策として、非接触型の自動開閉式トイレや、自動水栓手洗いを採用しております。

 最後に、本敷地は、元々は中央図書館の駐車場で南側道路と約3、5mの段差がある敷地でしたが、敷地の段差を解消し、通り抜け可能な地形にあわせた「スロープ構造のプロムナード」による交流空間と厳かな雰囲気をもつ展示空間で構成されています。

 特に交流空間はプロムナードに沿って「交通と交流のギャラリー」や「地域ギャラリー」などの賑わい施設を配置し、日常的に歴史に触れることができるオープンな空間となっており、プロムナードを経由して中央図書館や中央公民館、市民文化センター等への回遊も可能なため、気軽にお立ち寄り頂き、多くの皆さんが博物館建築の魅力にも触れて頂ければ幸いです。