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定期報告制度について
1.定期報告制度とは?
不特定多数の人が利用するホテル、旅館、集会場、百貨店等では、一たび火災などの災害が起こると大惨事になる危険があります。また、エレベーターなどは日常使用する設備であり、適切な維持管理がなされていないと人命に危険を及ぼすことになりかねません。
このような危険を未然に防ぐため、建築基準法第12条により定められた建築物及び建築設備や昇降機等について、その所有者(所有者と管理者が異なる場合には、管理者)が定期的に専門の技術者に調査・検査を行わせ、その結果を報告することが義務づけされている制度です。
定期報告には、建築物を対象とした定期調査報告と、建築設備、防火設備、昇降機及び工作物を対象とした定期検査報告があります。
- 定期報告制度の見直しについて(国土交通省ホームページ)<外部リンク>
- 定期報告制度ポータルサイト(日本建築防災協会のホームページ)<外部リンク>
2.定期報告の義務の対象
令和元年6月25日から定期報告が必要な建築物等は以下のとおりです。
(1)建築物
用途 | 規模 (避難階のみを当該用途に供するものを除く。) |
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1 | 劇場、映画館又は演芸場 |
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2 | 観覧場(屋外観覧場を除く。)、公会堂又は集会場 |
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3 | 児童福祉施設等(保育所、老人デイサービスセンターなど) |
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4 | 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)又は就寝用途の児童福祉施設等 |
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5 | 旅館又はホテル |
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6 | 共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅に限る。)、寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障がい者グループホームに限る。) |
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7 | 下宿、共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く。)、寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障がい者グループホームを除く。) |
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8 | 学校又は体育館(学校に付属するものに限る。) |
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9 | 体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場 |
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10 | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積が10平方メートル以下のものを除く。) |
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11 | 事務所その他これらに類するもの |
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[※調査項目は外壁等のみとなり、平成20年国土交通省告示第282号第一別表一の部、四の部、五の部並びに六の部(一)の項から(五)の項までは調査対象外となります。]
(2)建築設備
「(1)建築物」の表に掲げる建築物((7.下宿、共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く。)、寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障がい者グループホームを除く。)、11.事務所その他これらに類するものを除く。))に設置された換気設備、排煙設備、非常用照明装置(建築基準法第28条第2項ただし書又は同条第3項の規定により設けた換気設備並びに法第35条の規定により設けた排煙設備及び非常用の照明装置に限る。)
(3)防火設備
- (ア)「(1)建築物」の表に掲げる建築物((7.下宿、共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く。)、寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障がい者グループホームを除く。)、11.事務所その他これらに類するものを除く。))に設置される随時閉鎖及び作動をできるもの(防火ダンパーを除く。)
- (イ)次に掲げる用途のうち、床面積が200平方メートルを超える建築物に設けられるもの
- 病院、診療所(患者の収容施設のあるものに限る。)
- 就寝用途の児童福祉施設等(以下の施設)
就寝用途の児童福祉施設等一覧
- 共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅)
- 宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障がい者グループホーム)
- 助産施設
- 乳児院
- 障がい児入所施設
- 助産所
- 盲導犬訓練施設
- 救護施設
- 更正施設
- 老人デイサービスセンター(宿泊サービスを提供するものに限る。)
- 老人短期入所施設
- 養護老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 母子保健施設(母子健康センター。)
- 障がい者支援施設
- 福祉ホーム
- 障がい福祉サービス事業(自立訓練、就労移行支援を行う事業に限る。)の用に供する施設(利用者の就寝の用に供するものに限る。)
(4)エレベーター(労働安全衛生法施行令第12条第1項第6号に規定するもの及び一戸建て等の個人住宅に設置されたものを除く。)
(5)エスカレーター(一戸建て等の個人住宅に設置されたものを除く。)
(6)小荷物専用昇降機(昇降路の全ての出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも50センチメートル以上高いものを除く。)
(7)工作物
観光用エレベーター、観光用エスカレーター、ウォーターシュート、コースター等の高架の遊戯施設、メリーゴーランド、観覧車、飛行塔等の回転運動する遊戯施設で原動機を使用するもの
3.報告時期について
定期報告は報告の日前6か月以内に有資格者が調査、作成したものでなければなりません。
(1)建築物
特定建築物の報告は3年毎
提出期限は、建築又は用途変更(建築物の用途変更により、報告の対象)した日の属する年度を始期として、3年を経過するごとにその年度の9月30日までとなります。ただし、検査済証を交付された直後の時期は報告を免除されます。
(2)建築設備
建築設備等(昇降機を除く)の報告は1年毎
建築又は用途変更(建築物の用途変更により、報告の対象)した日の属する年度を始期として、毎年9月30日までとなります。ただし、検査済証を交付された直後の時期は報告を免除されます。
(3)防火設備
防火設備の報告は1年毎
提出期限は、建築又は用途変更(建築物の用途変更により、報告の対象)した日の属する年度を始期として、毎年9月30日までとなります。ただし、検査済証を交付された直後の時期は報告を免除されます。
(4)エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機、工作物
1年毎
4.調査員・検査員資格について
建築基準法により、定期報告の義務づけの対象とする建築物などは、専門的な知識を有する事が必要なため、資格を有する方が調査することとなっています。
既に「特殊建築物等調査資格者」「昇降機検査資格者」「建築設備検査資格者」をお持ちの方が、引き続き資格を維持するためには、講習課程を修了し、修了新たな資格者証(「特定建築物調査員」「防火設備検査員」「昇降機等検査員」「建築設備検査員」)の交付を国土交通省から受ける必要があります。
以下の者が有資格者として指定されています。
(1)建築物(工作物を含む)
一級建築士、二級建築士、特定建築物調査員(調査員資格を基に調査する場合は、提出書類に資格証の写しも添付してください。)
(2)建築設備
一級建築士、二級建築士、建築設備検査員(検査員資格を基に検査する場合は、提出書類に資格証の写しも添付してください。)
(3)エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機
一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員
(4)防火設備
一級建築士、二級建築士、防火設備検査員(検査員資格を基に検査する場合は、提出書類に資格証の写しも添付してください。)