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【博物館準備室コラムVol.14】~特定歴史公文書等って何~
準備室の橋本浩光です。今回は、「特定歴史公文書等」についてご紹介したいと思います。
郡山市歴史情報博物館は、博物館機能のほかに公文書館機能を有する複合施設になりますが、そもそも公文書(こうぶんしょ)とは何でしょうか。
簡単に説明すると、市役所の職員が市役所の業務のために作成した文書のことをいいます。後に検証できるように、政策が決まる過程を記録に残しておきます。
では、公文書は誰のものでしょうか。市役所が作るから市役所のものでしょうか。違います。令和6(2024)年度に施行された郡山市公文書管理条例では、公文書は市民のものであり、将来の市民に対しても説明責任を果たすものと定めています。
また、公文書のうち歴史的に重要な公文書は歴史公文書といい、市役所での保存期間が満了した歴史公文書は博物館に移され、呼び方が特定歴史公文書等に変わります。
特定歴史公文書等は、博物館の収蔵庫で永久に保存し、博物館内で誰でも閲覧することができます。特定歴史公文書等の保存と閲覧などの活用を行うことが、公文書館機能を有する施設の役割となります。
次に、特定歴史公文書等には、どのような文書があるのでしょうか。
博物館に移された特定歴史公文書等の中から、郡山市民の歌に関する文書をご紹介します。

<郡山市民の歌綴り募集要項>
郡山市民の歌は、市政30周年を記念し、昭和29年に制定されました。歌詞は一般公募により募集し、多くの作品の中から内海久二氏の作品が選ばれ、作曲は福島市出身の作曲家・古関裕而氏に依頼して作られました。郡山市民の方であれば、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
郡山市民の歌の歌詞の応募総数はどのくらいあったと思いますか。実は75作品も応募がありました。この文書を閲覧すると、惜しくも入選に選ばれなかった応募作品の歌詞も見ることができます。入選作品に劣らない優れた歌詞から少しユニークな歌詞まであり、応募作品を眺めるだけでも当時の時代背景が垣間見え、面白いと思います。
また、審査委員には当時の市長、教育長のほか、郡山市出身の作詞家 丘十四夫(おかとしお)氏が参加していて、作曲家の古関氏の要望により、内海氏の歌詞が丘氏の手によって加筆修正され、現在の歌詞になっている経過が記録されています。

<郡山市民の歌綴り内海氏原歌詞>
さらに、入選者1名は5,000円の賞金と副賞がもらえました。昭和29年当時の5,000円は現在の価値で約100,000円となります。また、副賞には卓上用煙草ケース、電気スタンド、オルゴール付置時計、メダルがありました。副賞も昭和ならではの品物が選ばれていると思います。
特定歴史公文書等は、自分に関係ないと思っていませんか。今回紹介したように、私たちの身近なものに関連した文書がありますので、ご利用いただくと何か新たな発見があるかもしれません。どうぞお気軽にお越しいただき、特定歴史公文書等の利用請求をしてみてください。ご来館お待ちしています!

<郡山市民の歌歌詞>