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Vol.13 神山典之さん
幼少期から迷うことなく和菓子職人としての道を進んできた神山さん。
和菓子作りにかける思いやこだわり、日本の職人として描く今後の夢について伺いました。
プロフィール
宮城小・宮城中出身の44歳。中田町で120年以上続く老舗の菓子店「かど屋(旧:神山菓子店)」を父・修一さんと営む4代目。
厚生労働省の「ものづくりマイスター」に認定され、小・中学校で和菓子教室を開くなど、和菓子の魅力を伝える活動に積極的に取り組む。
平成30年には、その技術と功績が認められ、市技能功労者表彰を受賞した。
インタビュー
和菓子で表現する和の心
和菓子を作る父の姿を、小さい頃からずっと見てきた影響で、自然と和菓子職人になる道を選びました。高校卒業後、都内にある日本菓子専門学校で学び、それから5年間、神奈川県などのお店で修行しました。毎日怒られましたが、一度も辞めたいとは思いませんでした。できないことが悔しくて、その気持ちを技術向上への原動力にしていましたね。
和菓子は、いくら学んでも足りない奥深い世界なんです。味や技術だけでなく、表現する季節や盛り付ける器など、必要な知識は数えきれません。旅行の際には必ず現地の和菓子屋さんを訪れるなど、研究と発見の毎日です。
8年ほど前からお茶を習い始めて、お茶会の和菓子作りへの価値観が変わったんです。それまでは、技術を見せるお茶菓子を意識して作っていました。お茶を学ぶと、個々の魅力を引き立てる「調和」が大切だと気づきました。お茶やお菓子、器など全体のバランスが大事なんです。
私の夢は、和菓子を通して世界中に日本文化を伝えることです。その第一歩として、3月上旬にシカゴで和菓子作りのデモンストレーションを行いました。初めて和菓子作りを見た現地の方々が「芸術的で美しい」と興味を持ってくれたので、うれしかったです。
今後も、自分なりの世界観で「和の心」を表現し、和菓子職人が子どもたちや世界中の人々の憧れの存在になるよう精進していきたいです。
DreamerPhotoLibrary
生活の中でヒントを得た色彩豊かなお菓子
和菓子の魅力を伝える教室はいつも好評
等間隔に模様をつけていく様は、まさに職人技!
スプーンなどの日用品も和菓子作りの道具に
(広報こおりやま2019年4月号より。内容は当時のもの)