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Vol.36 佐藤 倫さん
金継ぎ職人として、割れた陶磁器の器を漆や金粉できれいに修復する佐藤さん。始めたきっかけや思いについて伺いました。
インタビュー「愛着のある器や皿を長く使い続けてほしい」
金継ぎの醍醐味は、傷を隠すのではなく、新たな景色として生かすこと。破損して、一度諦めたものが装い新たに生まれ変わり、喜びが戻ってきます。
私は、昔から陶芸の技法や思いなど作品自体にひかれて、陶器や磁器の器を集めていました。また、子どもの頃から故障した家電などを自ら直すことに関心があり、器に携わる手仕事をしたいと調べたときに金継ぎを知りました。割れた物が金継ぎにより新たな魅力を生むほか、愛着も増す点にもひかれて、4年前から金継ぎの仕事を始めました。
金継ぎは工程が多く、仕上げまでにとても時間がかかります。欠けた部分を漆で接着し、時間をかけて乾燥させた後、平らになるように研磨を繰り返します。
そして平らになった後に、その器に似合うように金や銀を蒔いたり、色漆で仕上げるなど完成まで、約半年ほどかかります。建築内装業の仕事の合間に作業をしているので、時間がかかることを理解いただいています。
子どもからもらった手作りのカップやお気に入りの皿など、大切なものが傷ついたときのショックは、計り知れません。2月の地震で器が壊れた方も多いと思いますし、食器類がゴミとして捨てられた姿は残念でした。金継ぎをすれば器は長く使えるので、ぜひ知ってほしいですね。
皆さんの大事な品を守るために、自分が持つ技術を生かせることにやりがいを感じます。また、誰もが自分に似合うものや愛着あるものを見つけて、ずっと大切に使い続けてほしいですね。
金継ぎによって長く愛される陶器の器
(広報こおりやま2021年4月号より。内容は当時のもの)
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