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Vol.53 四季 大雅さん
四季 大雅さん
いつの時代でも人間(ひと)の心に届くような物語を
子どもの頃から物語が好きで、図書館にある小説やマンガをよく読んでいました。高校を卒業すると、村上春樹の作品をきっかけに文学にのめり込んでいき、それまで潜在的にあった、書き手になりたいという思いが強くなっていきました。21歳の時に処女作を出版社に送り、編集者から好意的なコメントを頂いて、本格的に作家を目指し始めました。しかし、なかなか出版までは至らず…。
そんな中で、より意識するようになったのは「普遍性」。時流によらず、より多くの人々の心を捉えるような物語のあり方を模索していきました。それは例えば、誰しもが避けがたく経験する喪失や悲しみ、無力感などに、さり気なく寄り添うことのできるような物語です。
デビュー作となった「わたしはあなたの涙になりたい」は、“赦し”と“癒し”の物語です。生きている限り、誰の喉にも大なり小なり、ある種の罪悪感が魚の骨のように刺さっているものだと思います。物語を読み終えた時、それが涙とともにすっと流れ落ち、朗らかな気持ちになれていたら…。そんな祈りを込めています。
東日本大震災の被害を受けた郡山で生活する中で、目にした人々の思いや感情、自らの死生観などに真摯に向き合いつつ、あくまで美しい作品に仕上げたつもりです。郡山が舞台なので、皆さんに身近な場所が登場するかも。読みながら楽しんでもらえたらうれしいですね。
本作は4年前に描き終えたものですが、いつ読んでも時代を超えて読者の心に届く、そんな普遍的な物語をこれからも描いていきたいです。
「わたしはあなたの涙になりたい」
(小学館ガガガ文庫)
発売日:2022年7月20日
定 価:640円+税
小学館ライトノベル大賞にて、最高賞の大賞を5年ぶりに受賞
「ミリは猫の瞳のなかに住んでいる」
(電撃文庫)
発売日:2023年3月10日発売
定価 :748円(本体680円+税)
超大型新人が電撃小説大賞の看板を引っ提げて繰り出す衝撃作!
「バスタブで暮らす」
(小学館ガガガ文庫)
発売日:2023年8月18日発売
定価 :814円(税込)
郡山を舞台にした最新作!ー笑って泣ける、新しい家族の物語ー
関連リンク
小学館ウェブページ<外部リンク>
電撃文庫ウェブページ<外部リンク>