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Vol.56 栢本 直行さん
独自に開発した実験用器材で、リスクを伴う動物実験を改善している(株)ハンドレッドの栢本さん。活動への思いを伺いました。
動物にも人にもやさしい開発で、共生できる社会を
私は昔から自然と動物が大好きで、前職では動物用医薬品などの開発に携わっていました。そんな折、世界では年に7億回以上のマウスなどを使った動物実験が行われていて、失敗も多いという事実を知りました。実験動物が社会の発展を支えてくれているのに、失敗なんてできない。そこで、動物実験に特化した実験用器材を開発する事業を、開発者の村上とともに3年前に立ち上げました。
開発にあたっては、従来の器材が、小さくか弱い動物にとって負担となる点や、使用者にも高度なテクニックを要する点に着目。前職で培ったノウハウを活かし、動物にも人にも負担の少ない採血投与針や保定器(注射時に動物を固定する器具)、練習用の模型を製作しました。多くの使用者から、「失敗がなくなった」「研究効率が上がった」などの言葉をいただき、特許や表彰もいただくことができました。成果が認められてうれしかったですね。
今は、さらなる実験用器材開発を進めるとともに、動物用健康食品の開発や、実証データを基にしたアニマルセラピーの普及などにも取り組んでいます。こうした活動には、エッセン大学など、普段交流できないような医療産業関係者とつながれるIURCの効果も大きく、海外ならではの意見も聞けて、良い刺激になっています。
技術が進めば、もっとやさしい社会がつくれます。これからもさまざまな研究を続け、多くの交流で得た知見を活かしながら、動物と人がこの先もずっと共に生きていける、そんな私なりの“持続可能な社会”を目指していきたいです。
製品化された器材は多くの実験で大活躍!
(広報こおりやま2022年12月号より。内容は当時のもの)
※文中のIURCについては、12月号の10ページでも特集しています。
関連リンク
株式会社ハンドレッド<外部リンク>