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今年も早や師走号。何より河川越水など大きな水害もなくうれしい限りです。
川は水害でもない限り、なかなか人々の関心の的にはなりません。札幌といえば石狩川、仙台といえば広瀬川、東京といえば隅田川、あるいは多摩川、神田川と、大都市は川の名前が歌になり想起されます。
さて、阿武隈川は「あの光るのが阿武隈川」(高村光太郎「智恵子抄」)がせめてもの慰め。しかし、これは郡山ではなく二本松の阿武隈川。
校歌には山や川がよく登場します。「阿武隈川」は、市内小中高91の校歌のうち、小学校5校、中学校3校、高校2校の計10校に登場します。福島市では、隈畔(わいはん)と称してデートコースの名所。比して当市では残念ながら越水の川としか想起されません。
市内には164本の河川と安積疏水119本の計283本の河川、ならびに雨水幹線52キロメートルを合わせた計900キロメートルの水脈があります。これら全てが「光る阿武隈川」に流入しています。(なお橋りょうは903本)
一方、局地的豪雨による内水被害軽減を目指して、総貯留量38,270立方メートルの雨水を一時貯留可能とする雨水貯留施設の整備が着々と進行中です。東京では同種施設は地下神殿と称されており、それにならえば郡山のミニ地下神殿と言えましょう。
その他、河川管理施設として5河川に10の親水施設、19の洪水調整池、50の水門管理があります。詳しくはこちらをご覧ください。
関連リンク:河川管理施設について
湖南町を除く郡山市内の降水は全て阿武隈川に流れ込みます。(湖南町は猪苗代湖へ)
「愛の反対は無関心」(作家エリ・ヴィーゼルの言葉)と申します。ぜひ、阿武隈川に関心、すなわち愛を。
“こども”という言葉には、「こども」、「子ども」、「子供」と三種の標記があります。
法律名で「子ども」を使用する法律は8つあり、主なものとして「子ども・子育て支援法」、「子ども・若者育成支援推進法」があります。前者の「子ども」は「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」で、後者の「子ども」は「乳幼児期(義務教育年齢に達するまで)、学童期(小学生)及び思春期(中学生からおおむね18歳まで)の者」とされております。
他の20歳未満の者を適用対象とする法律では、その呼称として、少年、刑事責任年齢、児童(乳児、幼児、少年)、学齢児童、学齢生徒、未成年者、婚姻適齢、年少者、青少年など、法目的に合わせて使い分けをされています。
年齢別に同じ名称が使用されているかと言えば然さに非ず。少年法の「少年」は「20歳未満」、児童福祉法の「少年」は「小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者」。「児童」は「18歳未満の者」とする法律がほとんどです。
では、18歳未満はすべて「児童」かと言えば、これも然に非ず。「青少年」、「年少者」とも称されています。「子ども」も使われています。一方で、「未成年者」だけはそろって「20歳未満の者」となっています。
同じ言葉でも、意味するところはさまざま。これを法律学者は「概念の相対性」と称して、あまり気にしておりません。制定された時代の通念を反映して、同じ言葉でも違う意味を持って使用されています。法律を読むときは、きちんと「定義」まで読みましょう。
次号は「川」についての予定です。
我が国は何事も法律完備の御多分に漏れず、ため池についても法律が2本、政令が2本、省令が2本あります。紙面の都合上、法律名のみ記すと、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」の2本です。
各法律の条文や政令、省令については、こちらをご覧ください。
「農業用ため池管理保全法」により、福島県が整備したため池一覧に記載されている市内のため池は、実に649もあります。
江戸時代から存在するため池は、相生集(※)によると372あります。県のため池一覧によれば57です。今後、相生集の記録とため池一覧とを突き合わせてまいります。
江戸時代以前のため池を探訪しておりますと「山のさびしい湖に一人来たのも」(作詞・佐藤惣之助、『湖畔の宿』)なんて歌が思い出されます。この歌の歌手が佇めば絵になる池ばかりです。
ため池は、今や農業とともに、地球温暖化時代に大きな役割が期待されています。度重なる内水氾濫には、たんぼダムとともに、農業用水源であるため池が貯水機能を果たすと期待されています。
郡山の歴史において、安積疏水の果たした役割は今や国内はもとより広く海外にも認められ、国際協力機構(JICA)の研修でも注目されています。今後は地球温暖化が進行する中、農業用水のみならず治水機能としても、ため池が注目されてまいりましょう。
次号は7月号に掲載した「年齢と法律」の第2弾。「青少年・児童の年齢区分」の予定です。
(※)二本松藩の地誌として近世安達郡・安積郡を網羅した歴史資料書(天保12(1841)年完成)
毎日、テレビのdボタン(データ放送)で雲の行方と天気予報を追い、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々の報道に心を痛め、エッセンシャルワーカーの皆様に感謝する日々が続いております。
予報と予防が「イノチ」の課題です。知行合一が最も肝要な課題です。
しかし、一人ひとりの努力が無にならないような課題があります。
天気では水系治水発想、感染症では予防環境づくりです。“木”以上に“森”を見る発想です。
これまでの治水は線の発想でしたが、今後の流域治水は木の根や枝のような川を網と捉え、水系治水の発想が必要です。
感染症も飛沫一個一個、ウイルス一個一個に注目する発想とともに、飛沫の流れ(治水ならぬ“治気”か)の環境に注目が必要です。
飛沫の流れは空気の流れです。今、読者のおられる場所の空気の流れはいかがですか?エアコンは換気型で、室内の空気は室外に流れ出ていますか?トイレも台所も風の道はいかがですか?車中では、オフィスではいかがですか?
私は、起床とともに全ての窓を開け、出勤する公用車では乗車後すぐに窓を開け(エアコンは換気操作可能)、市長室はドアも窓も全開。会議室も率先して開窓役を務め、訪問先の応接室でもこっそり窓の隙間風を確認(お許しあれ!)。
水と空気はタダではない。と警告くださった方がおりますが、まさに空気にも水にもお金をかける時代。私も最近は空気と水系治水に加え「ため池」に執心。市内にどのぐらいの数のため池があるかご存じですか?なんと649もあります。
次号は「古池巡礼」の予定です。
7月初旬から広い範囲で記録的な大雨となり、静岡県熱海市において発生した大規模土石流災害をはじめ、お亡くなりになられた方々、被害に遭われた皆様に、改めて弔意と深甚なるお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を御祈念申し上げます。
異常気象による災害は、市民生活や産業活動の各方面・分野に及びますが、とりわけ農業への影響は広範囲に及びます。
その農業分野においては、システム変換と、私には思われる見直しが進行しております。昨年9月から複数回開催された「農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会」の検討結果がそれです。
米穀の新JIS規格と、評される大変革です。農産物は種類ごとに品質基準・規格があると言っても過言ではないほど、我が国の農産物のQC(品質管理)は厳密です。
米穀については味覚基準も精緻に決められておりますが、その栽培流通過程についても、さらに質量ともに精緻に決定施行過程にあります。
今回の検討会では、機械鑑定を前提とした検査規格の策定、サンプリング方法見直し、検査証明における「皆掛重量」廃止、銘柄検査方法見直しなど6項目の見直しが進行中。
表題の「余マス」、「皆掛重量」は紙面の都合上、説明は割愛しますが、お時間の許す時に、是非、スマホでお調べ願います。さらに、うるち米、酒米、白米など、お米ワールドについて検索してみてはいかがですか。この夏休みのお楽しみにおススメします。
「米一粒に仏様がおわします。」と、お米は一粒たりとも残さず食べるべしと教わり、今も固く守っております。皆様同様に三大厄日「八朔、二百十日、二百二十日」の無事を祈りつつ。
「青春とは年齢ではない」。アメリカの詩人サミュエル・ウルマンの詩の一節ですが、年齢が適用条件である法令は数多あります。身近なものでは、運転免許の取得、介護保険料の支払い開始、「お酒はハタチになってから」など。
ここ数年は、2025年問題(※)を前に、高齢者に関する法令も増加の一途。最近では、70歳までの雇用を求める改正高齢者雇用安定法が話題になりました。
高齢者関連の法令を一つひとつ確認してみますと、同じ「高齢者」でも、その定義(年齢)はさまざまです。
高齢者を55歳以上と定義する法令は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」など28本、60歳以上は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」など58本、65歳以上は「高齢者の医療の確保に関する法律」など76本、70歳以上は「道路交通法」など33本。さらに、75歳以上40本、80歳以上8本、85歳以上1本。実に244本もの法令に高齢者の年齢要件が定まっています(本市調べ)。今後、我が国の高齢化の動向などによっては、各法令の年齢の変更もあり得ましょう。
法令以外でも「高齢者」の年齢を示す事例は数多。映画館の入場料金、スマホの料金プランなど。皆さまにとって、何歳からが「高齢者」ですか?
ご参考までに各国の敬老の日をご紹介します。国連の「国際高齢者デー」は10月1日、アメリカの「祖父母の日」は9月の第二日曜日、中国の「重陽節」は旧暦9月9日、韓国の「老人の日」は10月2日。日本の「敬老の日」は9月15日でしたが、2003年からハッピーマンデーにより、9月の第三月曜日となりました。
(※)団塊の世代が後期高齢者となり、社会保障費急増などが生じる問題。