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Vol.1 猪苗代湖の厄介ものだったヒシを 特産品のいなびし茶に

ページID:0120237 更新日:2024年8月17日更新 印刷ページ表示

株式会社いなびし

株式会社 いなびし代表 長友海夢さん

栃木県に生まれ幼少期からアルペンスキーに打ち込み、練習で何度も猪苗代町を訪れ競技スキーに打ち込んできた長友海夢さん(28歳)。学生時代も趣味のウインドサーフィンやスキーでよく訪れ、第二の故郷といっても過言ではない猪苗代町。

長友さんは大学を卒業し東京・名古屋で数年間、サラリーマンを経験しましたが「地域の為になるような仕事に携わりたい」という想いから、幼いころから愛着のあった猪苗代町の地域おこし協力隊に応募。2020年の4月に猪苗代町に移住し3年間協力隊員として従事しながら「株式会社いなびし」を設立。その経緯や未来へのビジョンを語っていただきました。


僕にとって第二のふるさとの猪苗代
きれいなままでいて欲しかったんです

猪苗代湖は福島県の中央部に位置し、別名「天鏡湖」と呼ばれる美しい湖。近年水草のヒシが大量に増殖し、それが枯れて腐敗しヘドロ状になって水質に大きく影響を及ぼしています。さらに枯れた水草が浜辺に漂着し悪臭を放ち、観光客が鋭いトゲのある固い実を踏んでケガをするような事態も発生して問題になっています。

代表取締役 長友海夢さん

「猪苗代湖周辺はウインタースポーツもマリンスポーツもオールシーズン楽しめる自然豊かな場所。でも地域おこし協力隊員で来てみると、かつて日本一だった猪苗代湖の水質がなんと14位に下がっていてびっくりしたんです。水質の数値が悪化する要因の一つが水生植物のヒシでした。本来悪いものではないのですが、秋以降に枯れて腐敗してしまうので、回収作業が必要になり人手やお金もかかり、手を焼いていることを知りました」。

「僕はやっかいもののヒシを駆除するだけでなく、地域のためにヒシを有効活用できないかと考えました。最初はヒシの実の中身を活用しようとしたんですが殻が固くトゲがありむきづらいため断念。栄養学の教授にサポートしてもらいながら殻にヒシポリフェノールが多く含まれていることを知り、殻ごと使うヒシ茶をつくることにしたんです」。

水草回収 水草の回収
回収したひし ひしを加工したいなびし茶

「最初はヒシの実を自然乾燥させたり、何度も失敗しました。乾燥器を使いながらトライ&エラーを繰り返し、ようやく『いなびし茶』の完成にこぎつけました。その時の達成感といったら今でも忘れられません。ゼロからイチを生み出すことは大変ですが、振り返ってみると楽しかった思い出しかありません」。

 

長友さんは食品加工を研究するハイテクプラザ会津若松技術支援センターの協力を得て、殻付きの実を乾燥させることに成功。細かく砕きヒシ茶を完成させました。刺々しいヒシのイメージとは違って、猪苗代湖産「いなびし茶」は、やさしく香ばしい風味で評判も上々。


猪苗代の地で 株式会社いなびしを起業

第4回こおりやまSDGsアワードを受賞

水草の回収作業

いなびし茶 いなびし茶

長友さんはこの経験から2022年、環境保全と地域経済の発展の両立を目指し「株式会社いなびし」を創業。猪苗代湖産ひし茶「いなびし」を商品化し道の駅やインターネットで販売。売上の一部を環境保全に役立ててもらうなど循環型の取組みが注目され、数々の賞を受賞。2022年度の第4回こおりやまSDGsアワード一般部門の受賞にも輝きました。


「インバウンドには
『Ninja Tea from Lake Inawashiro』 で売り出そうかな」

猪苗代湖とその周辺地域は、観光資源はもちろん、サスティナブルな体験をする場として、高いポテンシャルを秘めた地域。長友さんの今後の目標は?

 

「海外展開。インバウンドを促進させ、郡山市が推し進める安積疏水『一本の水路』の歴史や観光、会津地方の歴史、食文化、湖周辺の様々なアクティビティを、海外の旅行客にも楽しんでもらい、地域経済が活性化する流れをつくりたい。

ヒシの鋭い実は忍者が使ったまきびしの原型とも言われているので、忍者が大好きな海外の方向けに、『Ninja Tea from Lake Inawashiro』として紹介してさらなる誘客につなげたい。そのためにも、猪苗代湖産ひし茶の輸出を現在挑戦しています。

いなびし茶 外国人向けチラシ


学生達と一緒にフィールドワーク

ゆくゆくは6次化商品の開発を

「僕はいま地元の高校の非常勤講師もさせてもらってます。高校生と湖水に入ってフィールドワークを行うんですが、一緒になって大量のヒシを回収すると、ふるさとの猪苗代湖を守らなきゃと学生達の目の色が変わってくるんです。身をもって環境を守ることの大切さを実感してます。これからはヒシの実収穫体験、いなびし茶の焙煎体験、ヒシの実ネックレス作り体験、農業体験と、様々な体験・教育コンテンツを学校や企業向けに発信していきます」。

「日本大学工学部の起業サークルとも連携してヒシの水草を堆肥にして遊休農地へ蒔き、ブルーベリーやサツマイモを収穫。それらを猪苗代町特産の6次化商品に加工していくプロジェクトを進めている最中なんです若者が新しいことに挑戦できる土壌作りも積極的に行っていきたい!それこそが地域の活性化に繋がると考えています」。

 

猪苗代の未来のために柔軟な発想と行動力で、地域の厄介ものを観光資源に転換し新たな地域産業と雇用の創出を目指す長友さん。

事業規模をさらに拡大して持続可能な水環境保全活動を構築できるよう、今後の活躍に期待しましょう。

学生との水草回収 ひしで作成したアクセサリー
そば打ち体験 猪苗代湖と作業風景

株式会社いなびし代表 長友海夢さんが貢献するSDGs(持続可能な開発目標)のゴール
■No.6  安全な水とトイレを世界中に
■No.8  働きがいも経済成長も
■No.12  つくる責任 つかう責任

 長友さんのインタビューは、Instagramでも発信しています!

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