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Vol.3 ビールを軸に人・もの・ことを繋ぐ 地域循環型テーマパークを創生したい

ページID:0125647 更新日:2024年10月17日更新 印刷ページ表示

ホップジャパン本間さん

株式会社ホップジャパン 代表取締役 本間誠さん

東日本大震災の原発事故の影響で一時避難区域となり、ほぼ休眠状態となっていた福島県田村市の公共施設「グリーンパーク都路」。その施設を改修しクラフトビール醸造所「ホップガーデンブルワリー」を開設した株式会社ホップジャパン。代表取締役の本間誠さんに起業した経緯や目指す未来についてお話を伺いました。


アメリカのクラフトビールの美味しさに感動!

「会社員時代にアメリカのシアトルに留学する機会があり、感動したのがクラフトビールの美味しさでした。ビールの苦手な私が、フレッシュホップの香りと味わいにほれ込んでしまって・・・。いつか自分もクラフトビールをつくってみたいと思ったんです」。

 

「アメリカの現地の人達と交流をする中で、ブリュワリーに行ってクラフトビールを飲むという文化があることを知りました。ホップ農家とブルワリーが近く、ビールが人と地域をつなぐ役割をしていたんです」と本間さん。

 

本間さんは2010年アメリカから日本に帰国。
翌年の2011年、東日本大震災が起きました。本間さんはその時「このままでいいのだろうか」と自問自答する日々を送ったそうです。

 

「残りの人生を有意義なものにしよう」と2015年に株式会社ホップジャパンを起業。
原発事故の被災地でもあった田村市都路町へ移住しました。

 

「当時、日本のブリュワリーはホップを仕入れてビールをつくるというのがほとんどでした。ホップジャパンはホップ栽培からやるというのがコンセプトでしたので、まずはホップを栽培してくれる農家さんを探すところから始めました」。

 

ホップは冷涼な気候に適した作物。福島県はもともとホップの生産地でしたが輸入ホップに押されて栽培が途絶えていました。標高約700メートルの都路地区は、阿武隈高原の冷涼な気候でホップ栽培に適した土地。本間さんは農業経営のあり方を模索していた地元の農家さん3軒と協力しホップ栽培を復活させたそう。

ホップ栽培に適した気候の阿武隈高原
ホップ栽培に適した気候の阿武隈高原

収穫された地産ホップ
​収穫された地産ホップ

始めの数年間は苦難続きだったブリュワリーも、ビール工場ができてくると少しずつ協力してくれる人や企業、自治体も広がり、現在はつくりたてのクラフトビールが味わえる人気のキャンプ場に。
さらに、2023年4月には生のクラフトビールが味わえる直営の1号店をいわきに、2024年8月には郡山駅前に2号店がオープン。
宇宙の陰陽五行をテーマに様々なフレーバーの生のクラフトビールは、特色ある味わいと香りで評判も良く、瓶詰めタイプのビールは県内外に販路を拡大しています。

ブルワリーとスタッフ
​ブルワリーとスタッフ

瓶詰めタイプのクラフトビール
​瓶詰めタイプのクラフトビール

2024年8月にオープンしたビアレストラン郡山店
​2024年8月にオープンしたビアレストラン郡山店

生のクラフトビールが味わえる直営店舗
​生のクラフトビールが味わえる直営店舗


持続可能な循環型テーマパーク(LESIP)を目指していきたい

2015年の創業から、まもなく10年の節目。クラフトビール醸造、販路拡大などが軌道に乗ってきた今、本間さんに次なる展望を伺いました。

「ホップジャパンはビールをつくって売ることだけが目的ではありません。企業理念は人々が地球と調和し笑顔で暮らせる社会。クラフトビールを軸に『人・もの・こと』のプロセスを見える化し、押し付けではなく自然な形でお客様にそのマインドを伝え、循環型のテーマパークにしていきたいと思っています」。

 

「それを表す言葉が『0(ゼロ)次産業化』。造語なんですが、ビールの醸造過程で出る麦のカスを肥料としてホップ畑や麦畑に戻したり、家畜のエサとして無駄なく使用し、すべてが循環することを意味しています」。

 

「牛やヤギが牧草を食べて、そのミルクでチーズをつくり、キャンプで星空を見ながら、地元野菜のピザをおつまみにクラフトビールを楽しむ・・・これこそがホップジャパンが目指す循環型テーマパーク」と本間さんの思いは熱い。

循環型テーマパーク

農業 ホップ畑

キャンプ場 クラフトビール醸造

最近ではホップジャパンのもう一つの循環型コンテンツとして、自然環境のベースとなる養蜂にも着手。都路地区で栽培されている赤蕎麦の花からハチミツを採取し、それを原材料にしたミード酒(ハチミツ酒)もつくり始めたそうです。

 

そんなホップジャパンの理念に共感し県内外から集まった社員は現在11名。循環型テーマパークをLESIP(ローカルエコシステムアイディアルパーク)と名付け進行中。社員一人ひとりが同じ目標にむかって取り組んでいます。


子ども達にも循環型社会のプロセスを見せたい

ホップジャパンでは近隣の小・中学生に、麦の種まきなどの農業体験や麦わらでのクラフトワーク体験ができるプログラムを提供しています。

「歴史を振り返ってみても江戸時代の日本は世界でもまれにみるエコ社会でした。それが今はどこかで途切れている。スーパーやコンビニに行けば食べ物がすぐ手に入り、自分の食べている肉や野菜がどんな風に育って食べ物になっているか知らない子が多いんです」

 

「子ども達もここでの体験を通して循環のプロセスを知るきっかけになればうれしい。大地の恵みに感謝し、地球を大切にする大人になってほしいと思います」

 

「地球のために何かやりたいという志があれば未来は変わると思うんです。ここ都路に来て一緒にやりましょう」とメッセージを発信中。

 

クラフトビールを軸に【人・もの・こと】を繋ぐホップジャパンの取組みが新しいロールモデルとなり、更に人を呼び込み賑わいをもたらすような未来が見えてきました。原発20キロ圏内でありながら少しずつ活気が戻り過疎化が解消されつつある都路地区。新しい試みを探求するホップジャパンの取組みをこれからもみんなで応援していきましょう。

ホップジャパン本間さん

ホップジャパンが貢献するSDGs(持続可能な開発目標)のゴール

■No.2  飢餓をゼロに
■No.7  エネルギーをみんなに そしてクリーンに
■No.8  働きがいも経済成長も
■No.12 つくる責任 つかう責任
■No.17 パートナーシップで目標を達成しよう

 本間さんのインタビューは、Instagramでも発信しています!

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