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Vol.7 もったいない野菜マルシェと出前事業でフードロスゼロを!

ページID:0157463 更新日:2025年8月17日更新 印刷ページ表示

おおたま村づくり株式会社 矢吹吉信さん

おおたま村づくり株式会社 あだたらの里直売所
店長 矢吹吉信​さん

 

おおたま村づくり株式会社が運営する「あだたらの里」は、約280人の契約生産者が加盟する直売所。顔が見える安心安全な旬の農産物を販売しています。
「フードロスゼロ」に向けて日々奔走する店長の矢吹吉信さんに、こおりやまSDGsアワード受賞に至った経緯と、これからの展望について伺いました。


東京のイベント会社とのご縁から

風評払拭の『もったいない野菜マルシェ』が始動

 

風評被害が残る2015年、矢吹吉信さんは郡山市の某スーパーからあだたらの里直売所に転職。オープンと同時に店長を任されましたが、供給が多すぎて売れ残ってしまった野菜や、味に問題はないもののサイズや形が市場の基準に合わず廃棄される野菜の多さに、どうにかできないか…と、日々、過剰野菜・規格外野菜を見つめていたそうです。


転機は2016年、日本橋にある福島県のアンテナショップMIDETTE(ミデッテ)の農産物販売会に参加した時のこと。仕事を終えて立ち寄った飲食店で運命的な出会いを果たします。大玉村ロゴ入り半纏(はんてん)と前掛け姿のままの矢吹さんに、「どこから来たんですか」と声をかけてきた男性がいました。

 

「私に声をかけてくれたのは、首都圏でさまざまなイベントを展開している会社の方でした。初対面なのに意気投合してしまって…。風評被害などで売れ残って廃棄されてしまう福島の農作物の現状について真剣に耳を傾けてくれました。」

 

店長 矢吹吉信さん

後日その男性は、あだたらの里直売所にも足を運び、東京での販売を提案。2017年の夏、直売所の野菜を新幹線で運び首都圏の駅等で販売する「もったいない野菜マルシェ事業」が始動。大宮駅を皮切りに、東京駅、品川駅、立川駅などで大玉村はもちろん、県産の農産物を販売しました。

 

「反響はすごかったです!あらゆるマスコミ関係者の方々が取材に来てくれました。お客さんの中には、『私も福島出身、頑張ってね、応援しているよ。』と声をかけてくださる方もいて、勇気づけられたのを覚えています。」

 

「もったいない野菜マルシェ」の開催説明をする矢吹店長

「もったいない野菜マルシェ」の開催説明をする矢吹店長

 

「もったいない野菜マルシェ」オープン前の風景1  「もったいない野菜マルシェ」オープン前の風景2

「首都圏で開催された「もったいない野菜マルシェ」オープン前の風景


コロナ禍は「もったいない野菜オンラインマルシェ」へシフト

 

もったいない野菜マルシェが軌道にのった2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大で流通業は一変。移動の自粛で首都圏での販売が難しくなった矢吹さんや生産者さん達。途方に暮れる中、救世主として活躍してくれたのが、以前からフィールドワークで交流のあった東京農業大学の学生達でした。販売会場の東京駅とあだたらの里直売所をオンラインで繋いだ「もったいない野菜オンラインマルシェ」が始まったのです。

 

「新幹線で輸送した農産物は、東京駅で待つ東京農業大生が受取り、オンラインで繋ぎながら販売。画面越しに野菜の美味しい食べ方ミニクッキング教室もやりました。売り場に立つ東京農大のゼミ生は、大玉村でフィールドワークの経験があり、説明がとにかく上手でした。」

 

「当初はオンライン販売なんて…と半信半疑でしたが、逆にデジタルを駆使した販売方法は経費が抑えられ、売り上げが大幅にアップ。新型コロナでバイトが無くなった学生達には仕事を提供することができ、オンライン交流マルシェは流通の画期的な取り組みとして、さまざまな媒体に取り上げられました。」

 

もったいない野菜マルシェ

福島と東京をオンラインで繋ぎ開催した「もったいない野菜マルシェ」

 

オンラインモニター

東京駅販売会場に設置したオンラインモニター

 

東京農業大学の学生達

東京駅販売会場の東京農業大学の学生達

 

大成功だったオンライン交流マルシェは、新型コロナウイルス感染症の収束と共に2023年に終了。現在は、直売所での販売と大玉村のふるさと納税の返礼品「もったいない野菜セット」に力を入れているそうです。寄付額5,000円枠の中では上位にランクインするほどの人気です。

 

「ほぼ毎日、午後2時くらいからスタッフ総出で、生産者が届けてくれた朝採れ野菜の段ボール詰め作業をしています。寄付してくださった全国の皆様に、丹精込めて作った大玉村の野菜を美味しく食べてもらいたいと願いながら箱詰めしています。」 


子供達にフードロス対策の大切さを伝える出前講座

 

矢吹さんのもう一つの顔が、小・中学生やその先生を対象にフードロス対策の大切さを伝える「出前講座」。年間30回ほど行っています。

 

「出前講座では、先生方が子供達にSDGsの何を学ばせたいかを一緒に考え、テーマを決めて行います。例えばフードロス対策について、自分達ができることを考えてみようと問題提起すると、次の授業ではフードロス対策レシピを考えてくる子供もいます。」

「安達地方はきゅうりの生産も盛んなので、子供達を連れてきゅうりの選果場へ見学に行く時もあります。百聞は一見に如かずで『こんなにたくさんのきゅうりを作る農家さんってスゴイ!』と、目がいきいきと輝き出すんです。外部から私という存在が加わることで、ギュッと一つにまとまる感覚があります。」 

 

出前事業1  出前事業2

出前講座の様子

 

第3回こおりやまSDGsアワードを受賞後は、フードロス対策の取り組みが評価され、「日本青年会議所東北地区 福島SDGsプロジェクト賞」「環境省 FUKUSHIMA NEXT奨励賞」「豊かな村づくり顕彰事業むらづくり部門県知事賞」など、数々の賞を受賞。地元企業からも、社員食堂の野菜に使いたいなどオファーが相次ぎました。

 

持続可能な地域づくりの鍵は、”三方よし”にあると私は思っているんです。生産者、販売者、消費者の三者が共にありがとうという心で社会に貢献できれば、大玉村が良くなり、福島県が良くなり、日本が良くなり、持続可能な世界ができる。」

 

「これからも出前講座で子供達と一緒に持続可能な農業を考えていきたいと思います。子供の頃から農業に関心を持ち、一人でも多く担い手になってくれることを期待しています。

 

​フードロスなどの課題解決に向けて「これからも挑戦!」と意気込むあだたらの里店長の矢吹さん、そして生産者の皆さん。
消費者である私たちも、フードロスを減らしながら、地元産野菜の味を楽しんでいきたいですね。

 

生産農家さんと矢吹店長

朝採れ新鮮野菜を店内へ運ぶ生産農家さんと矢吹店長

 

商品の鮮度を確認しながら棚並べを実施     

​​商品の鮮度を確認しながら棚並べを実施                     

             

あだたらの里直売所

あだたらの里直売所

 

おおたま村づくり株式会社が貢献するSDGs(持続可能な開発目標)のゴール

■No.2 飢餓をゼロに
■No.4 質の高い教育をみんなに
■No.8 働きがいも経済成長も
■No.11 住み続けられるまちづくりを
■No.12 つくる責任つかう責任

矢吹さんのインタビューは、Instagramでも発信しています!

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