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Vol.8 脱炭素ZEB化と再生可能エネルギーの技術で持続可能な未来を拓く

ページID:0159999 更新日:2025年9月17日更新 印刷ページ表示

集合写真

新協地水株式会社
代表取締役 佐藤正基​​さん

 

新協地水株式会社は郡山市内で1975年に創業した、土と水の総合コンサルティング企業。郡山市民の憩いの場である開成山公園の井戸工事など、地元の建設業を地盤から支える会社です。今年で50周年を迎えた新協地水株式会社の代表取締役佐藤正基さんと常務取締役高橋友啓さん、総務主任阿部睦美さんに、こおりやまSDGsアワードへ応募した経緯や現在進行形の活動内容、地域の防災や減災の取り組みについて伺いました。


東日本大震災を経験し

再生可能エネルギーに特化した事業を模索

 

2011年の東日本大震災で福島県は地震の被害に加え、原発事故による風評被害などさまざまな影響を受けました。地域に根差しながら、地盤調査やさく井工事などの業務を主軸としてきた新協地水にとって、あらためてエネルギー問題について考え直す出来事だったそうです。

 

「社内から、カーボンニュートラルに取り組むため、何か再生可能エネルギーに特化した事業に取り組めないかという声が上がりました。我々が主軸としてやってきた地盤や水に関わる経験を活かし、地中熱を利用するプロジェクトが発足したんです。」と当時を振り返る佐藤正基代表取締役。

 

地中熱エネルギーについて説明する佐藤代表取締役

地中熱エネルギー地中熱エネルギーについて説明する佐藤代表取締役

 

見学用の省エネ技術/ヘッダー部分1   見学用の省エネ技術/ヘッダー部分2

見学用の省エネ技術/ヘッダー部分

 

 

地中熱とは、地表から数十メートルの地中に蓄えられた低温の熱エネルギー。地中の温度は年間を通して約15℃前後と一定で、どこでも利用可能。地中熱は、全国の学校や公共施設で導入が進められている、今まさに注目の再生可能エネルギーです。

 

「プロジェクトメンバーは4名でスタート。当時、郡山市土瓜に本社を構えていたんですが、建物の老朽化などで、地中熱を利用したデータを取るのが難しく、本社を郡山西部第一工業団地へ移転することにしました。」


『ZEB』建築の本社はエネルギー消費量実質ゼロを実現 

 

新社屋の建築構想は2018年から始まり、2020年11月、東北地方の民間企業の中では最も早く地中熱の利用を取り入れた『ZEB』建築の本社社屋を完成させました。

 

断熱材(グラスウール)による外皮性能向上とLow-E複層ガラス窓を採用した本社

断熱材(グラスウール)による外皮性能向上とLow-E複層ガラス窓を採用した本社

 

リゾートの雰囲気を醸し出すエントランスホール

リゾートの雰囲気を醸し出すエントランスホール

 

開放的な2Fには省エネタイプLED照明を採用

開放的な2Fには省エネタイプLED照明を採用

 

「ZEBとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルのことで、室内の快適性を保ちながらエネルギーの消費量を実質ゼロ以下にすることを目指した建物のことです。」

 

「新協地水の地中には、ボアホール型地中熱交換器、倉庫にはヒートポンプを設置。地中熱を利用し事務所内は、夏は涼しく冬は暖かい快適な空間を実現しています。照明や電気機器に使用する電気は、太陽光発電と蓄電池でまかない、実質エネルギー消費ゼロを達成しています。」

 

「この社屋は再生可能エネルギー開発施設も兼ねており、さまざまなデータを取り続けながら、今もZEBを継続しています。見学も随時受け付けておりますので、ぜひZEBを体感してほしいですね。」と佐藤代表取締役は自信を持って語ってくれました。

 


郡山市の次世代エネルギーパークにも認定

災害時の避難所として防災・減災の取り組みを強化

 

本社完成2年後の2022年、ZEB化後のデータが揃い新協地水は満を持して第4回こおりやまSDGsアワードに応募。みごと受賞を果たしました。


「こおりやまSDGsアワード受賞後は、中小企業が取り組むZEBの見本として認知度がアップし、北海道から九州まで多方面から問い合わせをいただきました。2025年7月現在で151組、延べ766名の方が見学に来ています。」

 

2022年には郡山市次世代エネルギーパークに民間企業として初めて認定。2023年には、中小企業庁の「はばたく300社」に福島県から唯一選ばれました。

新協地水では敷地内に6本の井戸を掘り、ZEB化の社屋は停電や断水時に電気や水を供給できる機能を備えていることから、災害時の避難場所として郡山市と協定を締結。防災・減災の取り組みにも力を入れています。

 

整理、徹底管理された備蓄庫

整理、徹底管理された備蓄庫

 

EVへの充電施設(左)    V2X-充放電システムが敷地内に完備

EVへの充電施設(左)とV2X-充放電システム(右)が敷地内に完備

 

防災訓練    防災訓練

毎年実施している防災訓練

 

「太陽光発電で余った電気は社用車のEV(電気自動車)へ充電、災害時にはEVから電気をもらうV2X(充放電システム)も完備しました。EVとV2Xの組み合わせで災害時に電気が止まっても冷暖房システムが稼働できる体制が整っています。」

 

「更に弊社の倉庫には郡山市の避難所として、約30名が数日間生活できる備蓄品も保管しています。最近では大熊町や浪江町と広域連携を図り、あらゆる災害を想定し、防災訓練などの実証実験も行っているところです。」

 


新協地水の認知度を上げ学生達の職業選択の一つに

 

「新協地水の仕事内容やSDGsの活動を知ってもらう為に、季刊誌『土と水』を年3回発行し、広報PRに努めています。現在89号を迎えました。」と編集委員長を務める総務主任の阿部睦美さん。


2022年にはNPO法人うつくしまNPOネットワークからの依頼を受け、県立郡山東高等学校で『SDGs実践事業所における具体的な取り組み』というテーマの出張講演を実施。この秋には会津の中学校への出張講演も決まっているそうです。


地元テレビ局が発行する中学生向けの地元企業紹介誌「ふくしまのおしごと本2025年度版」にも掲載され、7月の「未来発見フェスこおりやま」では高校生を対象に「安全な水」のワークショップを実施。積極的に中学生・高校生へのアプローチを図っています。

 

ワークショップ

 

「今の学生達は環境問題に関心が高く、ZEBの取り組みなど、目を輝かせて聞いてくれます。今後も弊社は産学官連携を進め、地元郡山に地中熱を利用して再生可能エネルギーやゼロカーボンに取り組む企業があるという事を周知して、次世代の子供達の職業選択の一つに加えてもらえたらと思っています。」

 



子育て世代が働きやすい環境を整備中

 

「新協地水の経営理念の一つに、社員の幸せと社会の発展を目指すというのがあるんですが、時代のニーズに合わせて今年の春から就業規則を見直しました。年間有給休暇以外に、扶養する子供一人につき看護休暇や男性社員の育休制度を設け、子育て世代が働きやすい環境を整備。社員のモチベーションアップ施策として資格取得の難易度に応じて奨励金を支給しています。」と常務取締役の高橋友啓さん。

 

集合写真

 

未来を見据え、新卒・中途採用問わず社員登用に力を入れている新協地水。若い力と地中熱利用によるイノベーションでSDGsの目標達成への取り組みをリードし、住みよい地域づくりに貢献しています。これからも新協地水の躍進に注目していきましょう。

 

新協地水株式会社が貢献するSDGs(持続可能な開発目標)のゴール

■No.7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
■No.9 産業と技術革新の基盤をつくろう
■No.12 つくる責任つかう責任
■No.13 気候変動に具体的な対策を
■No.17 パートナーシップで目標を達成しよう

佐藤さんのインタビューは、Instagramでも発信しています!

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