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株式会社こんの 郡山営業所
係長 塩田義雄さん 担当 齊藤俊さん
今年で創業75年を迎える「株式会社こんの」は、古紙などの再生資源物の回収や卸売り、廃棄物の収集を軸とする環境ビジネスカンパニー。第6回こおりやまSDGsアワードを受賞した郡山営業所の担当者お二人に、その経緯や取り組み、これからの目標について伺いました。
古紙リサイクル業はSDGsそのもの
社員一人ひとりが誇りを持って取り組んでいます
郡山市内を車などで走っていると、「こんの」のロゴの入った古紙回収車を目にする事があります。「こんの」は、業界の中では知らない人がいないほど古紙リサイクルの先駆者的企業です。
「当社が創業した1950年代は、ちょうど戦後の高度経済成長が始まった頃。使い捨てが普通だった時代に、古紙リサイクル業はどちらかというとマイナーなイメージの仕事でした。」と振り返る塩田さん。
しかし2015年、国連サミットでSDGsが採択されると、もはや古紙は分別してリサイクルするのが当たり前という風潮に変化。「こんの」はSDGsの模範的存在として注目されるようになり、時代の流れをひしひしと感じているそうです。
なんといっても「こんの」の特長は、古紙を集めて製紙メーカーへ販売するだけにとどまらず、古紙リサイクルの循環ループを確立させている事。「こんの」では回収した古紙を製紙メーカーへ売り、製紙メーカーで生まれ変わった再生紙を「こんの」のグループ会社「アイクリーン」が購入。段ボールやトイレットペーパーという形で消費者へ販売しています

古紙、雜紙の分別作業を行う担当の齊藤さん
古紙ベールを製紙メーカーへ出荷
郡山営業所の古紙回収は年間16,000トン、一般家庭はもちろん、工場、オフィスなどあらゆるところから持ち込まれるそうです。
「1トンの古紙はなんと20本の立ち木に相当し、年間32万本の立ち木を保護していることになります。杉の木が成木になるまでには約30年~50年と言われていますので、木から作る紙がどれだけ貴重か分かっていただけると思います。」
「当社は、各家庭や事業所で使命を終えた古紙を大切に回収し、新たな紙製品の原料として送り出しています。その作業は365日止まりません。社員一人ひとりが地球の環境保全に貢献しているという誇りを持って取り組んでいます。」と塩田さんは誇らしげに語ってくれました。

回収された古紙

イメージ写真
さまざまなSDGs関連イベントでリサイクルの重要性を周知
「こんの」の今年の目標は”グローカル”という言葉。これは、グローバルとローカルを掛け合わせた造語だそうですが、その施策の一つが「オープンヤード」という独自のイベントです。
「古紙リサイクル業の暗いイメージを払拭し、市民の方にリサイクルの重要性を伝えるために、営業所ごとに毎年いろいろな団体を招待し、敷地内で、紙すき体験、分別プレスの見学、重機に乗車して撮影会、リサイクル文化の講話などを開催しています。学校や団体などから見学希望の問い合わせがあった場合は、随時見学も受け入れています。」

オープンヤード(工場見学)

オープンヤード フォークリフト乗車体験
「毎年ビッグパレットふくしまで開催するふくしまSDGs未来博には第1回から出展しています。ブースでは毎年恒例のトイレットペーパータワーチャレンジを実施して大盛況です。古紙を持ってきてくれた子供さん限定ではありますが、何個積み上げられるか真剣にトライしてくれます。未来ある子供達には、楽しみながら古紙リサイクルの重要性を周知していければと感じています。」
作業現場を担当する齊藤さんは「2022年度、郡山市は62ある中核市の中でゴミの排出量がワースト1という残念な発表がありました。行政も当社も、ゴミ減量を呼び掛けていますが、まだまだ燃えるゴミとして出されている紙類がたくさんあります。当社としても、大人はもちろん、子供達に、お菓子やおもちゃの箱など、分別してリサイクルするのはカッコイイということを伝えていきたいです。」と熱い思いを語ってくれました。
ふくしまSDGs未来博出展ブース

子供達に大人気のチャレンジ企画
障害のある方の雇用が、人間力や組織力強化にも繋がった
「こんの」では約12年前から、障がいのある方の直接雇用を積極的に取り組んでいます。就労継続支援B型事業所などに声をかけ、古紙分別の補助や清掃など、継続的に就業体験を実施し、適性を見て直接雇用するという形を続けてきたそうです。
「古紙分別の最終的な仕分けにはどうしても人の手が必要です。障がいのある方と、分別のように集中して繰り返す作業はとても相性が良いんです。例えば、ピザソースのような油が付いた紙は再生できませんが、どうしても混じっていることがあり、取り除く作業が発生します。そんな作業に貢献してもらっているんです。」と塩田さん。
実際の作業風景
「こんの」は2021年には、厚生労働省の「もにす認定」(障がい者雇用優良事業主認定制度)を受けました。社内に多様な人材が集まることによって、弱い立場の人に寄り添う人間力や強固な組織力という成果も生まれているそうです。
社員の幸せを第一に、地域課題の解決に向けた事業を拡大中
「こんの」は人を大切にする企業として2016年「ホワイト企業大賞人間力賞」を受賞。社員の幸せを第一に、正社員、パート、アルバイトを問わず、社内外のさまざまな研修が受けられる制度があり、働きがいのある職場づくりを目指しているそうです。また、残業ゼロ、子供の学校行事優先出勤、出産祝い金、同居家族介護手当など、職場環境改善や福利厚生も整備されています。
事務担当者社員研修
紺野代表取締役社長による外部セミナー
今後は大学や学校とも連携し、いま社会問題となっている空き家問題や遺品整理など、地域課題の解決に向けて幅広く事業を拡大する予定です。社員の採用に関しても、新卒・中途を問わず、リサイクルという仕事の可能性を信じて飛び込んで来てほしいとのことです。
「こんの」は、環境・資源循環インフラのリーダー的存在として、これからも地球環境を守る重要な役割を果たしてくれる企業です。私たちも資源ゴミ分別の徹底を心がけ、資源循環社会を目指していきましょう。
郡山営業所 係長 塩田義雄さん

同 SDGsプロジェクトメンバー 担当 齊藤俊さん
株式会社こんの 郡山営業所が貢献するSDGs(持続可能な開発目標)のゴール
■No.4 質の高い教育をみんなに
■No.8 働きがいも経済成長も
■No.12 つくる責任つかう責任
■No.13 気候変動に具体的な対策を
■No.15 陸の豊かさも守ろう
お二人のインタビューは、Instagramでも発信しています!